PathFinder使用時のスライド現象について解析しました。
長文です、御容赦を願います。
本日の飛行場でのdenkado様からの解析依頼、内容はプロッタでの再生画面でP23の背面からのインメルマンターン時の上昇がおかしい、、、スライドしている。
この現象は、インメルマンターン以外にも垂直上昇時に発生するとのこと。
今回の現象、ロール後の背面からのインメルマンターンにおいて直線からのハーフループ上昇時に奥行方向に明らかにスライドしています。プロッタ再生画面においても動きが変です。
プロッタ画面です。
上は、ジャッジビュー
下は、レフトビューです。
結論:
ParhFinderは衛星捕捉能力が不足しているようです。
その結果として、推定計算結果にエラーが大きく、精度も取れないことが引き金になりスライド現象を発生しています。
本日、同時間帯に飛ばした私のP23フライトでの衛星捕捉数と比べました。
明らかにParhfinderでの衛星捕捉数は不足気味です。両者での2回目のフライトも確認しましたが同様でした。下記に結果を示します。
ミッションプランナーで解析結果です。
左がParhFinder(PF)、右がジャンプ等の異常はない私のフライトコーチ(F.C)です。
使用機材、飛行機体、フライトコントローラ+GPSはほぼ同じものです。
別トピックスの
[機械学習によるジャンプに影響を与えるパラメータの分析]のTakJP様の情報から
https://zawazawa.jp/flightcoach/topic/28
衛星捕捉数(NSats)は12以上、水平方向の精度(HDop)は小さいほど良い。
PFでの衛星捕捉数は最低が僅か10です。平均値も低いレベルです。
精度の数値も大きめに出ます。
衛星捕捉数(NSats) :10~16.25~19 @PF、16~18.85~19 @ F.C
水平方向の精度(HDop) : 0.65~0.71~1.1 @ PF、0.65~0.65~0.73@ F.C
下記閾値は0.6以下です。
PFは各エラーが大きめの値です。
PFのコンパスエラーが0.6以上を継続した時点からスライドを開始しています。
位置エラー(XKF4_SP) : 0~0.05~0.89 @ PF、 0~0.05 ~0.23@ F.C
コンパスエラー(XKF4_SM): 0~0.20~1.86 @ PF、 0~0.19~0.44@ F.C
速度エラー(XKF4_SV) : 0~0.15~6.01 @ PF、 0~0.12~0.49 @ F.C
今回のインメルマンターンでのスライドは、
衛星捕捉数が限界の11~12個のところで生じています。その際の、GPS高度と計算による高度は著しく違っています。
上図は、ParhFinderでの衛星捕捉数
下図は、ParhFinderでのGPS(GPS_Alt)と計算(POS_Alt)での高度比較を一例として示します。
対策:
今後、GPSの置き場所を変更して捕捉数アップに繋がるか検討予定です。
PathFinderはGPSアンテナに対し同程度の高さのフライトコントローラの基板が横方向に近接しすぎることが原因と思われます。電子基板は金属のパターンで覆われ、電子部品も殆どが導電性です。
金属ですので衛星捕捉に影響を与えるます。
このため、背面飛行時において水平方向の衛星を捕捉するのにフライトコントローラ基板側の一面は衛星捕捉が抑制されてしまい捕捉数の不足が生じたものと推定できます。
水平飛行等のGPSが上を向いている場合は問題ありませんが、P23等の背面飛行の時間が長くかかる場合は要注意です。背面時に四方から受信したいのに、両者が近接すると三方からの水平方向の衛星からしか受信できません。
さらに、フライトコントローラ自身はクロック等による多数の高周波スイッチングノイズを発生します。言い換えれば、GPS受信、特にGPS内蔵のコンパスに影響を与えることは十分に考えられます。フライトコントローラ内にあるコンパスの使用を推奨しないのもこの理由と思われます。
ご参考:
私は当初からGPSとフライトコントローラの配置は基板一枚分の間隔を置くようにしています。例外として、フライトコントローラ上にGPSを配置したタイプもあります。この場合においても衛星受信を妨げることにはなりませんので衛星捕捉問題は生じていません。