自転車道場

ハブの玉あたり。 / 31

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ディープインパクト 2024/09/12 (木) 20:30:01

 鶏 泰造さん
グリスって「スポンジに油を含ませたような状態」になっているので、温度が上がっても潤滑性能が高まるわけではないし、炙ってもスポンジから油が染み出すだけで、柔らかくはなりませんよ(^^;。

 スポンジにあたるのは「増ちょう剤」と言って、基本は固体です。「リチウムグリス」とか「カルシウムグリス」とか言いますが、これが増ちょう剤の種類を表しており、「水に強い」とか「高温に強い」などの性質は、増ちょう剤でほぼ決まります。

 潤滑性を司るのは、そこに含ませる潤滑油と添加剤です。潤滑油は、スポンジ状になった増ちょう剤の隙間に浸透しているようなかたちで保持されています。で、鋼球が転がると、スポンジが絞られて油が染み出すような感じで潤滑が行われます。しばらく使っていると、シールの隙間から油が滲み出てくることがありますが、あれは繰り返し荷重を受けた増ちょう剤が劣化して、網目構造が破壊され、油が保持できなくなるからです。

 空転時の抵抗は、潤滑成分より増ちょう剤の粘度のほうが影響しますから、ちょう度の低いグリスを使えば、空転時間は長くなります。(硬いスポンジのほうが絞るのに力が必要なのと同じ)

 玉当たりの調整に関しては、私が自転車の整備を始めた40数年前は「少しゴロゴロした手応えが感じられるくらい」とされていましたが、それは「一定の予圧をかけたほうが、荷重がかかった際にも鋼球の仕事が均等に近くなり、支持剛性や耐久性が高まる」という理由からで、自転車のベアリングサイズは荷重に対して十分な余裕がありますから、予圧はゼロでも実用上は問題ありません。
 ホンダのエンジニアだったふじいのりあきさんが「ロードバイクの科学」という本で書いていましたが、ガタがあるところまで緩めて使ってみたけど耐久性に問題なかったとのこと。また、QRを締め込むとシャフトが縮むので、それを見込んでわずかなガタを残して調整する方法もあるということも書いてありました。

 私も試してみましたが、さすがに車体に取り付けた状態でガタがあると、旋回に入った際にホイールがヨレる感じがわずかにしたので、現在は「ガタなしゴロなし」か、「QRを締めたらガタが出ない」というのを指標に調整しています。

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