それは、多次元に浮かぶ世界の無数ある内の一つの取るに足らない世界。
その世界はひたすら弱かった。
土地も生き物も、なにもかもが脆弱で貧弱で虚弱であった。
ゆえに、その世界は強い異世界の住人達にとっては“良い鴨”となった。
異世界人達は、次々と時空を渡りこの世界へと移ってきた。
そして、彼らは世界へと多大なる影響を及ぼしていった。
魔族の王【魔王】討伐、未知なる技術による文明革命、異空間から転移させた軍隊による領土侵略などなど、異世界人が世界に及ぼした影響は計り知れなかった。
段々と世界は混沌を極めていった。
そして、世界の色はじっくりと彼等の色に染め上げらていった。
が、ある日を境に、彼等の中に変死を遂げる者が急に続出したのである。
異世界人の来訪が後を経つことはないが、後続の彼等も現れてはすぐに死んでいった。
異世界人は知らない。
人知れず世界のバランスを整える役割を持ち自分達を狩ることを専門にした暗殺者達が、その世界に存在することを。
アポカド強い
アポがおっさんで草
支援
支援
それからというものの、アルトは鬼神のごとく苛烈にアポかどを攻めた。
アルト「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇええええええ!!!!!!」
アポかどはこれまでに培ってきた戦闘経験を絞り出し必死にアルトの太刀筋を予測し、斬撃が到達する前に跳躍し、全身を使った剣技で受け流すなどをして、辛うじてアルトの剣から逃れていた。
だが、剣速、手数、破壊力、余波、生み出す何もかもが通常を超越したアルトの剣を前に、ただの傭兵にすぎないアポかどは戦闘時間が増すごとに消耗させられていった。
アポかどの体には大小多様の無数の傷が刻まれていた。刃先がかすった際の切り傷に、余波で飛んできた木片や砂利が刺さったことによる裂傷。目に見える外傷以外にも、受け流してきれなかった力を受けたによって軋み、所々にびびの入った全身の骨。剣を握っている両手は特に酷かった。
今のアポかどの状態は満身創痍といっても差し支えがない。それほどまでに傷ついていた。
だが。
アルト「何故だ!!!何故、剣が当たらないんだ!!!!」
だが、アポかどの動きは一切鈍ることはなかった。
いや、まず前提条件からおかしい。
アルトの評した通り二流の剣士に過ぎず、身体能力も傭兵の平均値ほどのアポかどが、何故、一撃一撃が森を裂くアルトの猛攻を凌ぐことができているのか。アルトにはそれが理解できなかった。
アルト「クソがぁぁぁあああああ!!!!」
彼自身が言った通り、戦闘経験によるものか。だが、既にアルトはそれだけでは説明不可能と断じている。それだけでは証明しきれないからだ。
では、何故なのか。アルトにはそれがわからなく、もどかしかった。
アポかど「殺し合いの最中に考え事たぁ、俺も舐められたもんだな」
そんなアポかどの呟きと同時に、アルトの頬にアポかどの剣がかすった。
アルト「え?」
アポかどに関しての考察を必死に巡らしていたアルトの頭の中が、ただそれだけのことによって真っ白に染められる。だが、それは一秒の数十分の一程度のほんの一瞬だけであった。
次の瞬間、アルトの脳内はこれ以上にないほどにクリーンになった。
アルトは、アポかどの追撃の太刀を上体を反らすことで避けると、跳躍して後退する。
アルトがかすり傷を負い、後退した事実に、後ろにいた女性たちは少なからずショックを受けるが、それは勝負に関係のない話。
アルト「いや、感心した。すごく感心したよ。この僕に、まさか一太刀浴びせるとはね」
アルトはアポかどを称賛した。だが、それは上から見下したような言い方ではなかった。その目には、ある種の尊敬の念がこめられていた。
アポかどはこれに疑問を持つが、称賛されたからには言葉を返そうと思った。
アポかど「いやいや、それほどでもねぇよ。流石に間近で長時間、極限状態で剣を打ち合わされてたら、誰だろうが動きにも慣れるもんだぜ。今、ちょぉっとばかし、アンタの剣が見えてきたところだ」
アルト「いや、誉れあることであれど、謙るようなことでもない。誇れ。君は英雄をして唸らされた偉大な戦士だ。腕力も、速さも、剣も、何もかもを上回る存在に真っ向から挑むなど、英雄たる僕にも無理だ。いや、英雄ではないな。僕は単に自分より弱い者を倒していただけ。決して、英雄などではない」
アルト「だから、初心に戻るとしよう」
慢心に満ちたアルトはそこにはなく、ただ目の前の敵を倒そうと言う闘志に満ちた一人の戦士として彼はそこに立っていた。
無型だった剣の構えは、剣術の基礎をなぞるように堅実な正眼の構えとなっていた。
最早、アポかどが何故強いかなどはどうでもよくなっていた。今はただ失った誇りを取り戻したい気持ちが胸を占めていた。
アポかど「……へぇ。良い目をするようになったじゃねぇか、ガキが」
先程まで押されていたというのに、まるで格上が格下を見定めるかのようにそう言い放つアポかど。
だが、不思議とアルトはそれを不快とは思わなかった。
アルト「お誉めに与り、光栄だ……」
アルト「《盾よ……》【堅装・盾 】」
アルトの全身を黄金の武装がまとわりついていく。アルトが発動したのは全身甲冑の鎧を呼び寄せる類らしく、黄金の武装は頭まで覆いつくした。
表情の見えなくなった彼は、面甲の隙間からアポかどを睨むと殺気を全開にした。
アルト「……遅れ馳せながら名乗りをあげさせてもらおう。異世界《ヴォルフスヘイム》が亡国《ドライアド王国》の《龍狩り騎士団》騎士団長のアルトリウス」
アポかど「くくく。それがお前の本気ってか?笑わせてくれる。こちとらお前より何倍も強いやつをぶっ殺してきたんだよ。精々、長時間に渡って俺を苦しめてから、俺に首を刈られて死んでいけ」
アルト「死ぬつもりは毛頭ない」
アポかど「それはダメだ」
アルト「ならば推して参る!」
アポかど「勝手に推して参っとけ!」
アルトは神のごとき威光を放ちながら、アポかどへと踏み込んでいった。
アポかど「六時間か。……いつもより少ぉし長かったな……。ゴプッ……ゴホッゲホッ」
全身が血まみれとなったアポかどが木の残骸にもたれ掛かりながら辛うじて生きていた。
そんな彼に近付く一人の黒衣をまとう男がいた。男はアポかどの傍らに立つと徐に話しかけた。
???「大丈夫か?」
アポかど「……どう見たらそう見えるんだぃ」
???「お前のことだから、死ぬことはないだろう。心配する必要はない」
アポかど「少しは心配したくれよぅ。俺の体は人並の頑丈さなんだぞ……。あ、すまねぇけど、取りこぼしができた。後始末してくんね?」
???「心配に及ばず。彼女たちは包囲した《影》が処分した」
アポかど「ならいいや」
???「任務達成ご苦労。いつもながら、何故、お前みたいな奴がこのような化け物共を倒せるのか。甚だ不思議でならんよ」
男が視線を向けたところには、地形が崩壊して原型のなくなった森の風景(?)が広がっていた。その中にポツンと、生首と両腕と首をなくした死体が放置されていた。英雄アルトの成れの果てである。
あのあと、更なる激戦を経て、なんとか隙を見つけたアポかどが彼の首を切断することで戦いは終焉を向かえた。実に呆気ない終わり方であった。
???「彼はどうだった?」
アポかど「……アイツ、最後の最後に誇りを取り戻しやがった。そんでよ、腕を切り落とされても、顎で剣を振り回すんだぜ。メチャクチャヤベェだろ。ほんと、死ぬかと思った。ま、それでも俺は五体満足で生きてるからな」
見せびらかすようにアポかどは両手を上げてプラプラと振った。
???「しかし、お前が彼を倒してしまったから、《千眼竜 》の戦力テストは出来ずじまいだ。帰ったら彼女から小言を貰えるぞ」
アポかど「死にかけの状態でそんなのされたら軽く死ねるぜ。……ん?それって、俺が死ぬのが前提じゃねぇか。ひでぇよぉ、博士……」
???「……アポかど、現時点でも我々は押され気味だ」
アポかど「……………………」
???「現在、三十六もの異世界からの干渉を受けているが、特に深刻なのは《英雄世界・ヴァルハラ》、《高度文明世界・ネオテシア》、そして、《大魔界・ユーベルヘイム》。他の世界ならともかく、これらからの干渉を跳ね除けるのは、我らでも容易くない。だが、先日、とある予言が下された」
アポかど「先日って最新か?」
???「ああ、今日らしい。我らの終わりなき戦いに終止符を打つ存在が現れる、とな」
アポかど「っ!!!」
???「それを伝えたかった」
アポかど「コイツは面白くなってきたじゃねぇか……!」
現状、アポかどしか出せてない……
あー
ガンガン行こうず
いいじゃん
一人一人を濃く書いた方が面白いし
自分も名前だす予定のキャラ瞬殺して結局名前が設定だけとかあるし
詳しくはSSの大国の紅魔帝国裏で
http://zawazawa.jp/sswolrd/
ここね
>> 29
それもそうだな
俺強い
強いんじゃなくて、なぜか強い
↑これ重要
だが、アポかどVSアルトリウスが終わって俺の中の火が燃えつきようとしていた
らめぇ
もっと、熱くなれよぉおおおおおおおお!!!
支援
ぶっちゃけ言うと、この戦いはプロローグみたいなもんで
主人公はこのあとに出る予定
ちなみに言うけど、予言の存在が主人公とは限らない
変化球的な展開はあるかな?
んー
ヒロインのエピソードでそういうのがあるけど、そこまでいけるかがなぁ……
終盤でどんでん返しがあればいいな(願望)
僕もコテハンSSはにわポリ死すのところ辺りで燃え尽きた
にわポリそういえば消えたな
俺なんてもう既に燃え尽きそう
なれ合いが元なのに書いてて楽しいSSもあるけどなあ
登場するコテハンが大半消えてるという事実でゆっくりほっそり燃え尽きていった
早めに書き終わらないと大変な事になるからサボらずに書いたほうがいい
うん、それだな
ちなみに、アポかどは三十路に差し掛かってるだけでまだ二十代って設定
しかし、若くして老けてるのもあって、仲間内でおっさんと呼ばれる
>> 50
それは無理ぃ……
終盤は割と王道にする予定
王道か
てか、ストーリー長いから多分終わらん
完走できる気がするとは何だったのか
うるせぇ!雷霆ぶつけんぞ!
私は長編書くと必ず燃え尽きるので出来るだけ短編書くようにしてる
・。・書くなら最後まで書いてください
今ネタ詰まりしてんだよな……
平和な村の風景が描けない