みんポケ!

【SS】名も無き観測者達 / 26

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雷霆を鍛えし者 2016/08/07 (日) 20:28:04

アポかど「六時間か。……いつもより少ぉし長かったな……。ゴプッ……ゴホッゲホッ」

 全身が血まみれとなったアポかどが木の残骸にもたれ掛かりながら辛うじて生きていた。
 そんな彼に近付く一人の黒衣をまとう男がいた。男はアポかどの傍らに立つと徐に話しかけた。

???「大丈夫か?」

アポかど「……どう見たらそう見えるんだぃ」

???「お前のことだから、死ぬことはないだろう。心配する必要はない」

アポかど「少しは心配したくれよぅ。俺の体は人並の頑丈さなんだぞ……。あ、すまねぇけど、取りこぼしができた。後始末してくんね?」

???「心配に及ばず。彼女たちは包囲した《影》が処分した」

アポかど「ならいいや」

???「任務達成ご苦労。いつもながら、何故、お前みたいな奴がこのような化け物共を倒せるのか。甚だ不思議でならんよ」

 男が視線を向けたところには、地形が崩壊して原型のなくなった森の風景(?)が広がっていた。その中にポツンと、生首と両腕と首をなくした死体が放置されていた。英雄アルトの成れの果てである。
 あのあと、更なる激戦を経て、なんとか隙を見つけたアポかどが彼の首を切断することで戦いは終焉を向かえた。実に呆気ない終わり方であった。

???「彼はどうだった?」

アポかど「……アイツ、最後の最後に誇りを取り戻しやがった。そんでよ、腕を切り落とされても、顎で剣を振り回すんだぜ。メチャクチャヤベェだろ。ほんと、死ぬかと思った。ま、それでも俺は五体満足で生きてるからな」

 見せびらかすようにアポかどは両手を上げてプラプラと振った。

???「しかし、お前が彼を倒してしまったから、《千眼竜(サウザンドアイズ・ドラゴン)》の戦力テストは出来ずじまいだ。帰ったら彼女から小言を貰えるぞ」

アポかど「死にかけの状態でそんなのされたら軽く死ねるぜ。……ん?それって、俺が死ぬのが前提じゃねぇか。ひでぇよぉ、博士……」

???「……アポかど、現時点でも我々は押され気味だ」

アポかど「……………………」

???「現在、三十六もの異世界からの干渉を受けているが、特に深刻なのは《英雄世界・ヴァルハラ》、《高度文明世界・ネオテシア》、そして、《大魔界・ユーベルヘイム》。他の世界ならともかく、これらからの干渉を跳ね除けるのは、我らでも容易くない。だが、先日、とある予言が下された」

アポかど「先日って最新か?」

???「ああ、今日らしい。我らの終わりなき戦いに終止符を打つ存在が現れる、とな」

アポかど「っ!!!」

???「それを伝えたかった」

アポかど「コイツは面白くなってきたじゃねぇか……!」

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