SSにする予定 ノベル版の設定もパクろかな
勢いで建ててしまった まだ何も考えてない
【プロローグ】
ハンター、それは人々の生活を脅かす自然の猛威“モンスター”を討伐するために生まれた職業。
モンスターの力は、人間にとっては強大であり多様だ。それらを討伐する職業であるハンターになるには、屈強な肉体と多くの知識やスキルが求められる。それゆえに誰もがなれる訳ではない。当然、身の危険も伴うので、ハンターになるにはそれ相応の覚悟も必要だ。討伐クエストの途中で死ぬハンターは少なくない。
だが、それでも、ハンターを志す者は後を絶たない。生まれ育った村を自分で守るため、己の力を試すため、富や名誉を手に入れるため、他の道がなかったため等、これらのようにハンターの志望動機は様々である。そして、これと同様でハンターにも多くの物語がある。
これは、そんな数多くあるハンター達の物語の中にあるほんの些細な一つの、一人のハンターの物語を描く話。
【第一章・双孤狼】
~森丘~
少年「ハッ……ハッ……」
ハンターは一人、アルコリス地方に広がる平原を全力で駆けていた。 顔はヘルムに覆われていて相貌が不明だが、曇りながらも漏れでるその声色からは若々しさがうかがえた。まだ少年ほどの年齢である。 少年の背後からは、そんな彼を追い上げるように疾走する巨大なモンスターがいた。
モンスター「ゴァァァアアアァァアアアア」
それは全身が赤と黒の色を基調とした猛々しさを思わせる甲殻に包まれた飛竜種。名は《リオレウス》。《火竜》とも呼ばれる。 高さは4m、全長は15mあり、その体躯は人間とは比べ物にならないほどに巨体。今でこそ畳んでいるものの、その両翼は全開に広げるとその全長は合わせて20mを越すであろうほどに長大。そして、極めつけとして、闘争本能に呼応するかのように口から漏れでる剛炎の片鱗が、それが人とは完全に一線を画した存在であることを示していた。
そんな怪物に対して、少年はただひたすら逃げるだけ。
ではなかった。
何を血迷ったのか、その走りを止めてその場で振り替えると、迫り来る火竜と毅然と向かい合った。 そして、柄も合わせると少年の丈より頭三つ分も大きい大剣《ブレイズブレイド》を背から抜き放つ。普通ならば、鍛えた大人でも持てないような代物であるそれを、少年は見た目よりも遥かに強靭な腕力を以て持ち上げて構える。その堂の入り様たるや、見慣れない者が見たらおおよそが英雄と見紛うほどであろう。
だが、いくら少年の腕力が優れ超重量の大剣を扱えようと、火竜との体格、パワー、ウェイトの差を埋めるには至らない。人とモンスターの生物としての単純な強さにおいての格差は歴然としていた。 それでも少年は立ち向かう。彼は、大剣を肩に担ぐように構えると、静かに次の一撃に向けて全身の力を溜め始めた。 だが、火竜の突進は、そんな彼の全身全霊の一撃すらも力付くでねじ伏せ粉砕してしまうのだろう。
何の邪魔も入らなかったら、の話だが。
レウス「グギャァァアアァァァアアアア!?」
リオレウスが驚愕の咆哮をあげる。 リオレウスが少年へと衝突しようとした瞬間、突如、リオレウスが踏み込んだ足が沈み、胴体の下半分までまるごと地中に埋まったのだ。 ハンター御用達のトラップ《落とし穴》である。少年は予めここに仕込んでいたのである。先程までの逃走は、リオレウスをこの地点へと誘導するためのものだったのである。 地中に沈み困惑に捕らわれた状態のリオレウスに向けて、少年は先程から溜めていた力を解き放った。 少年の溜め斬りを喰らい、リオレウスの頭部の甲殻が衝撃でまるまる吹き飛ぶ。 リオレウスが苦痛で哭き叫ぶ。 だが、少年はそんなことは微塵も気にせず、ひたすらリオレウスを大剣で切り裂いた。 もがいてるうちに落とし穴からの拘束が解けたのか、リオレウスはこれ以上は堪らないというように必死に翼をはためかせて飛び上がった。 空に逃げられては接近戦でしか攻撃手段のない少年ではどうすることもできない。こうなったらもう、火竜の名の由来である火球に焼かれるか、降りかかる火球からひたすら逃げ惑うしかない。
だが、そのようなことは少年にとって対策済みであった。 少年は、ポーチから黄色い球をとりだすと、繋がれていた糸を引き抜いてリオレウスに向けて投げつけた。すると、リオレウスの鼻先でそれは破裂し、暴力的なまでの量の光を撒き散らした。 事前に目を閉じていた少年はともかく、不意を突かれるように光を目に浴びせられたリオレウスは、視力を失って前後不覚となる。混乱して飛行の制御を失ったリオレウスは地面へと落下する。 リオレウスの落下に合わせて、少年は大剣を真上へと振り上げた。振り上げられた大剣はリオレウスの首の付け根を大きく切り裂く。 振り上げた勢いを利用して肩に担ぐと、再びリオレウスの頭部に向けて溜め斬りを叩き込む。重厚な音を響かせてリオレウスの顎が地面にめり込む。 視力こそ戻っていないが、パニック状態から立ち直ったリオレウスはようやく立ち上がる。 そして、大きく息を吸い込んだ。
レウス「グギャァォォオオオオォォォアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
リオレウスは先程までとは比べ物にならないほどの音響の咆哮をあげた。怒りも含んだそれは、リオレウスが少年のことを敵と認識した証である。
少年「ぐっ」
モンスターの本気の咆哮は人間の鼓膜など簡単に破裂させてしまう。少年はリオレウスが咆哮をあげる直前に耳を塞いでいた。だが、それ以上に本能の奥底にあるモンスターに対しての恐怖を呼び起こされて、身がすくんでしまう。 たが、それ以上に闘争心も煽られた。 根性で無理矢理咆哮からの拘束を解くと、耳を塞ぐために取り落としたブレイズブレイドを持ち上げ、リオレウスに刃先を向けるように構えた。
少年「こっからはアイテム無しだ。精々楽しもうぜ、このセト様となぁ!!!」
視力の回復したリオレウスの目が少年に向けて焦点を合わす。ギラギラと殺気を放つそれを感じてゾクゾクする背筋に、少年セトは頬を吊り上げた。 セトは大剣を担ぐと、リオレウスに向けてそれを降り下ろした。
~ドンドルマの街~
ここはドンドルマ。 険しい山間を開拓して出来たこともあって、モンスターからの侵入を阻みやすく、周囲に豊かな資源があり、物流の中心にもなりやすい位置ということもあって、大陸全土を見渡しても一、二を争うほどまで発展した大都市である。 当然、そこに集うハンターの数や質も付近の街とは一線を画す。中には古龍級生物すらをも打倒しうるG級ハンターの姿も認められた。 そんな数多のハンター達の中にセトはいた。
ハンター1「おいおい。あのセトってガキ、またリオレウスを倒してきやがったらしいぞ」
ハンター2「それも一人で、らしいな」
ハンター1「訓練所卒業してまだ二年も経ってねぇのに大したモンだぜ」
ハンター2「いやいや、大したどころじゃねぇよ。見ろよ、あの全身を覆うレウスシリーズを。俺達でも、リオレウスを狩れるようになったのはハンターになって七年経ってからだぞ」
ハンター1「そりゃ単に俺達がヘボいだけだろ」
ハンター2「それをアイツは一年も経たねぇうちに一人で狩りやがったんだよ!」
ハンター1「聞いてねぇや」
ハンタ2「……まさしくアイツは“天才”だぜぇ……!」
ハンター1「お、おう……」
そんなとりとめのないハンター達の会話に耳を傾けるハンターがいた。
セト「ヒヒヒ。また俺の話してやがんぜ」
セト「もっとしろもっとしろぉ」
この不気味に笑う少年こそ、今ハンター達の話題にあがっていたセトである。 身長こそ平均より頭一つ分低いが、頭以外の全身を包むレウスシリーズの防具と人を殺していそうなほど目付きの悪い三白眼と目の下にある深い隈が鋭い威容を放ちそのことを周りに感じさせずにいた。低身長なことには変わりないが。 彼は自分のことを褒め称えるハンター達の談話へと耳をより傾けた。 直後、彼の笑みは凍り付く。
ハンター1「だけどよ、天才って言ったらもう一人いるだろ」
その言葉を聞いてセトの眉間がピクリと動く。
ハンター2「ああ、確かにいるな。名前は確か、“グラナ”だったか?セトと同期で訓練所にいたらしいな」
ハンター1「そうそう。てかよ、ぶっちゃけ、クラナの方がセトよりも凄くねぇか?」
セトの眉間が更にピクピクと動いた。
ハンター2「まあ、確かにな」
ハンター1「クラナは受けるクエストこそセトと同等だが、討伐しかしないセトとは違ってクラナの方は討伐よりも高難度な捕獲を卒なくこなしてくる。その上、なんと初見でリオレイアの亜種を捕獲してるとまできた。噂ではよ、訓練所での成績も常にセトより優秀だったらしいぜ」
ハンター2「まあ、才覚ならG級並だろうな。でもよぉ、クラナは大剣使いじゃねぇじゃねぇか。俺としては大剣使いのセトを応援したいぜ」
ハンター1「お前どんだけ大剣好きなんだよ」
ハンター2「ヘッ、大剣を知らなかったらわざわざハンターになんかならなかっただろうな」
ハンター1「ハンターになった理由しょうもなさすぎだろ……」
彼等の談話をよそに、セトの顔面は普段の人相の悪さも加わって夜叉の形相と化していた。目の前を通りすぎようとしたハンターや給仕が彼を見て腰を抜かしていた。
セト(あの女……ことごとく俺の邪魔をしやがって……!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すこ……)
支援
ハンター1「お、噂をすると例の嬢さんの凱旋だ」
ハンター2「お?」
セト「む」
会話を止めて二人のハンターは集会所の入り口を見た。セトもつられて目を向けた。
そこには銀にも見える真っ白な長髪を靡かせる少女がいた。身長は平均的な男性と同じくらいで、女性にしては長身。身に包む防具はリオレウスの雌固体である《リオレイア》の素材をベースに作られたガンナータイプのレイアシリーズ。そして、霊鶴石のような紫色の中に輝くような金色の瞳孔を灯した瞳を持つ吊り目気味な目もあって、冷徹で怜悧という印象を周囲に抱かせる。ガンナー用のレイアシリーズが機能的なデザインをしているというのもあるだろう。 彼女こそが二人のハンターが話題にあげていたハンター、クラナである。そして、ハンター歴二年弱でありながら、ベテランハンター顔負けの狩りの腕を持つ才媛。 クラナは集会所の中に入ると迷わずまっすぐに受付カウンターに向けて歩みを進めた。 ハンターズギルドの集会所は荒くれも者の多いハンターが集まるという性質上、酒場として側面もある。夜間こそクエストから帰って来たハンターなどで賑わって少し移動するのも億劫になるくらい混むのだが、今は昼時。夜間よりは空いているので、クラナが受付カウンターに辿り着くのに苦労することはなかった。
クラナ「クエストの報酬、もらいに来たのだけど」
受付嬢「報告は受けております。……ほんとに凄いですね。幻の飛竜《モノブロス》を捕獲してしまうなんて」
――ガタッ。
そんな物音が集会所酒場のいたるところから起こった。 気付くと、セトは立ち上がって呆然とクラナを見ていた。
セト「うっそだろぉ……」
まだかまだか
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【プロローグ】
ハンター、それは人々の生活を脅かす自然の猛威“モンスター”を討伐するために生まれた職業。
モンスターの力は、人間にとっては強大であり多様だ。それらを討伐する職業であるハンターになるには、屈強な肉体と多くの知識やスキルが求められる。それゆえに誰もがなれる訳ではない。当然、身の危険も伴うので、ハンターになるにはそれ相応の覚悟も必要だ。討伐クエストの途中で死ぬハンターは少なくない。
だが、それでも、ハンターを志す者は後を絶たない。生まれ育った村を自分で守るため、己の力を試すため、富や名誉を手に入れるため、他の道がなかったため等、これらのようにハンターの志望動機は様々である。そして、これと同様でハンターにも多くの物語がある。
これは、そんな数多くあるハンター達の物語の中にあるほんの些細な一つの、一人のハンターの物語を描く話。
【第一章・双孤狼】
~森丘~
少年「ハッ……ハッ……」
ハンターは一人、アルコリス地方に広がる平原を全力で駆けていた。
顔はヘルムに覆われていて相貌が不明だが、曇りながらも漏れでるその声色からは若々しさがうかがえた。まだ少年ほどの年齢である。
少年の背後からは、そんな彼を追い上げるように疾走する巨大なモンスターがいた。
モンスター「ゴァァァアアアァァアアアア」
それは全身が赤と黒の色を基調とした猛々しさを思わせる甲殻に包まれた飛竜種。名は《リオレウス》。《火竜》とも呼ばれる。
高さは4m、全長は15mあり、その体躯は人間とは比べ物にならないほどに巨体。今でこそ畳んでいるものの、その両翼は全開に広げるとその全長は合わせて20mを越すであろうほどに長大。そして、極めつけとして、闘争本能に呼応するかのように口から漏れでる剛炎の片鱗が、それが人とは完全に一線を画した存在であることを示していた。
そんな怪物に対して、少年はただひたすら逃げるだけ。
ではなかった。
何を血迷ったのか、その走りを止めてその場で振り替えると、迫り来る火竜と毅然と向かい合った。
そして、柄も合わせると少年の丈より頭三つ分も大きい大剣《ブレイズブレイド》を背から抜き放つ。普通ならば、鍛えた大人でも持てないような代物であるそれを、少年は見た目よりも遥かに強靭な腕力を以て持ち上げて構える。その堂の入り様たるや、見慣れない者が見たらおおよそが英雄と見紛うほどであろう。
だが、いくら少年の腕力が優れ超重量の大剣を扱えようと、火竜との体格、パワー、ウェイトの差を埋めるには至らない。人とモンスターの生物としての単純な強さにおいての格差は歴然としていた。
それでも少年は立ち向かう。彼は、大剣を肩に担ぐように構えると、静かに次の一撃に向けて全身の力を溜め始めた。
だが、火竜の突進は、そんな彼の全身全霊の一撃すらも力付くでねじ伏せ粉砕してしまうのだろう。
何の邪魔も入らなかったら、の話だが。
レウス「グギャァァアアァァァアアアア!?」
リオレウスが驚愕の咆哮をあげる。
リオレウスが少年へと衝突しようとした瞬間、突如、リオレウスが踏み込んだ足が沈み、胴体の下半分までまるごと地中に埋まったのだ。
ハンター御用達のトラップ《落とし穴》である。少年は予めここに仕込んでいたのである。先程までの逃走は、リオレウスをこの地点へと誘導するためのものだったのである。
地中に沈み困惑に捕らわれた状態のリオレウスに向けて、少年は先程から溜めていた力を解き放った。
少年の溜め斬りを喰らい、リオレウスの頭部の甲殻が衝撃でまるまる吹き飛ぶ。
リオレウスが苦痛で哭き叫ぶ。
だが、少年はそんなことは微塵も気にせず、ひたすらリオレウスを大剣で切り裂いた。
もがいてるうちに落とし穴からの拘束が解けたのか、リオレウスはこれ以上は堪らないというように必死に翼をはためかせて飛び上がった。
空に逃げられては接近戦でしか攻撃手段のない少年ではどうすることもできない。こうなったらもう、火竜の名の由来である火球に焼かれるか、降りかかる火球からひたすら逃げ惑うしかない。
だが、そのようなことは少年にとって対策済みであった。
少年は、ポーチから黄色い球をとりだすと、繋がれていた糸を引き抜いてリオレウスに向けて投げつけた。すると、リオレウスの鼻先でそれは破裂し、暴力的なまでの量の光を撒き散らした。
事前に目を閉じていた少年はともかく、不意を突かれるように光を目に浴びせられたリオレウスは、視力を失って前後不覚となる。混乱して飛行の制御を失ったリオレウスは地面へと落下する。
リオレウスの落下に合わせて、少年は大剣を真上へと振り上げた。振り上げられた大剣はリオレウスの首の付け根を大きく切り裂く。
振り上げた勢いを利用して肩に担ぐと、再びリオレウスの頭部に向けて溜め斬りを叩き込む。重厚な音を響かせてリオレウスの顎が地面にめり込む。
視力こそ戻っていないが、パニック状態から立ち直ったリオレウスはようやく立ち上がる。
そして、大きく息を吸い込んだ。
レウス「グギャァォォオオオオォォォアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
リオレウスは先程までとは比べ物にならないほどの音響の咆哮をあげた。怒りも含んだそれは、リオレウスが少年のことを敵と認識した証である。
少年「ぐっ」
モンスターの本気の咆哮は人間の鼓膜など簡単に破裂させてしまう。少年はリオレウスが咆哮をあげる直前に耳を塞いでいた。だが、それ以上に本能の奥底にあるモンスターに対しての恐怖を呼び起こされて、身がすくんでしまう。
たが、それ以上に闘争心も煽られた。
根性で無理矢理咆哮からの拘束を解くと、耳を塞ぐために取り落としたブレイズブレイドを持ち上げ、リオレウスに刃先を向けるように構えた。
少年「こっからはアイテム無しだ。精々楽しもうぜ、このセト様となぁ!!!」
視力の回復したリオレウスの目が少年に向けて焦点を合わす。ギラギラと殺気を放つそれを感じてゾクゾクする背筋に、少年セトは頬を吊り上げた。
セトは大剣を担ぐと、リオレウスに向けてそれを降り下ろした。
~ドンドルマの街~
ここはドンドルマ。
険しい山間を開拓して出来たこともあって、モンスターからの侵入を阻みやすく、周囲に豊かな資源があり、物流の中心にもなりやすい位置ということもあって、大陸全土を見渡しても一、二を争うほどまで発展した大都市である。
当然、そこに集うハンターの数や質も付近の街とは一線を画す。中には古龍級生物すらをも打倒しうるG級ハンターの姿も認められた。
そんな数多のハンター達の中にセトはいた。
ハンター1「おいおい。あのセトってガキ、またリオレウスを倒してきやがったらしいぞ」
ハンター2「それも一人で、らしいな」
ハンター1「訓練所卒業してまだ二年も経ってねぇのに大したモンだぜ」
ハンター2「いやいや、大したどころじゃねぇよ。見ろよ、あの全身を覆うレウスシリーズを。俺達でも、リオレウスを狩れるようになったのはハンターになって七年経ってからだぞ」
ハンター1「そりゃ単に俺達がヘボいだけだろ」
ハンター2「それをアイツは一年も経たねぇうちに一人で狩りやがったんだよ!」
ハンター1「聞いてねぇや」
ハンタ2「……まさしくアイツは“天才”だぜぇ……!」
ハンター1「お、おう……」
そんなとりとめのないハンター達の会話に耳を傾けるハンターがいた。
セト「ヒヒヒ。また俺の話してやがんぜ」
セト「もっとしろもっとしろぉ」
この不気味に笑う少年こそ、今ハンター達の話題にあがっていたセトである。
身長こそ平均より頭一つ分低いが、頭以外の全身を包むレウスシリーズの防具と人を殺していそうなほど目付きの悪い三白眼と目の下にある深い隈が鋭い威容を放ちそのことを周りに感じさせずにいた。低身長なことには変わりないが。
彼は自分のことを褒め称えるハンター達の談話へと耳をより傾けた。
直後、彼の笑みは凍り付く。
ハンター1「だけどよ、天才って言ったらもう一人いるだろ」
その言葉を聞いてセトの眉間がピクリと動く。
ハンター2「ああ、確かにいるな。名前は確か、“グラナ”だったか?セトと同期で訓練所にいたらしいな」
ハンター1「そうそう。てかよ、ぶっちゃけ、クラナの方がセトよりも凄くねぇか?」
セトの眉間が更にピクピクと動いた。
ハンター2「まあ、確かにな」
ハンター1「クラナは受けるクエストこそセトと同等だが、討伐しかしないセトとは違ってクラナの方は討伐よりも高難度な捕獲を卒なくこなしてくる。その上、なんと初見でリオレイアの亜種を捕獲してるとまできた。噂ではよ、訓練所での成績も常にセトより優秀だったらしいぜ」
ハンター2「まあ、才覚ならG級並だろうな。でもよぉ、クラナは大剣使いじゃねぇじゃねぇか。俺としては大剣使いのセトを応援したいぜ」
ハンター1「お前どんだけ大剣好きなんだよ」
ハンター2「ヘッ、大剣を知らなかったらわざわざハンターになんかならなかっただろうな」
ハンター1「ハンターになった理由しょうもなさすぎだろ……」
彼等の談話をよそに、セトの顔面は普段の人相の悪さも加わって夜叉の形相と化していた。目の前を通りすぎようとしたハンターや給仕が彼を見て腰を抜かしていた。
セト(あの女……ことごとく俺の邪魔をしやがって……!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すこ……)
支援
ハンター1「お、噂をすると例の嬢さんの凱旋だ」
ハンター2「お?」
セト「む」
会話を止めて二人のハンターは集会所の入り口を見た。セトもつられて目を向けた。
そこには銀にも見える真っ白な長髪を靡かせる少女がいた。身長は平均的な男性と同じくらいで、女性にしては長身。身に包む防具はリオレウスの雌固体である《リオレイア》の素材をベースに作られたガンナータイプのレイアシリーズ。そして、霊鶴石のような紫色の中に輝くような金色の瞳孔を灯した瞳を持つ吊り目気味な目もあって、冷徹で怜悧という印象を周囲に抱かせる。ガンナー用のレイアシリーズが機能的なデザインをしているというのもあるだろう。
彼女こそが二人のハンターが話題にあげていたハンター、クラナである。そして、ハンター歴二年弱でありながら、ベテランハンター顔負けの狩りの腕を持つ才媛。
クラナは集会所の中に入ると迷わずまっすぐに受付カウンターに向けて歩みを進めた。
ハンターズギルドの集会所は荒くれも者の多いハンターが集まるという性質上、酒場として側面もある。夜間こそクエストから帰って来たハンターなどで賑わって少し移動するのも億劫になるくらい混むのだが、今は昼時。夜間よりは空いているので、クラナが受付カウンターに辿り着くのに苦労することはなかった。
クラナ「クエストの報酬、もらいに来たのだけど」
受付嬢「報告は受けております。……ほんとに凄いですね。幻の飛竜《モノブロス》を捕獲してしまうなんて」
――ガタッ。
そんな物音が集会所酒場のいたるところから起こった。
気付くと、セトは立ち上がって呆然とクラナを見ていた。
セト「うっそだろぉ……」
まだかまだか