【第一章・双孤狼】
~森丘~
少年「ハッ……ハッ……」
ハンターは一人、アルコリス地方に広がる平原を全力で駆けていた。
顔はヘルムに覆われていて相貌が不明だが、曇りながらも漏れでるその声色からは若々しさがうかがえた。まだ少年ほどの年齢である。
少年の背後からは、そんな彼を追い上げるように疾走する巨大なモンスターがいた。
モンスター「ゴァァァアアアァァアアアア」
それは全身が赤と黒の色を基調とした猛々しさを思わせる甲殻に包まれた飛竜種。名は《リオレウス》。《火竜》とも呼ばれる。
高さは4m、全長は15mあり、その体躯は人間とは比べ物にならないほどに巨体。今でこそ畳んでいるものの、その両翼は全開に広げるとその全長は合わせて20mを越すであろうほどに長大。そして、極めつけとして、闘争本能に呼応するかのように口から漏れでる剛炎の片鱗が、それが人とは完全に一線を画した存在であることを示していた。
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