~魔獣の洞窟~
???「端的に言わせて貰うと」
???「無理」
???「長年の封印生活で散々干からびた我が魔力なんかで、ドラゴンの契約者みたいな化け物に太刀打ちできる道理がないだろ」
祭典「カスかよお前^ ^」
祭典「あーあ、なんかめんどくさくなってきた」
祭典「ぬこザル来るまで待つか」
???「だが、一つだけ助ける方法はある」
祭典「勿体ぶんなよゴミが!」
???「人に頼む態度かよそれ……」
???「お前には一年間、我の話し相手になってもらっていたから、それなりに感謝している。だから、今回ばかりは助けてやろう」
???「俺と契約をしてお前が戦うのだ」
祭典「え?俺がかよ……^ ^;」
???「文句を言うな」
???「さて、この封印、もう用はないな」
ドゴォォォオオオオオオン
(洞窟にある封印の祭壇が砕け散る)
(現れたのは、全身の体毛が赤く、角が後ろ向きに湾曲し、馬のような鬣を後頭部から背筋に伸ばした面妖な牛の姿をした獣であった)
祭典「お前……その気になれば……」
???「これでもかなり弱体化したのだけどな」
祭典「なんで封印なんかに……」
???「話す義理も時間も存在しない」
???「来たぞ」
祭典「え?」
ぬこザル「もう一つ気配があったから君の他に生き残りがいるのかと思ったんだけど」
ぬこザル「まさかこんなところで魔獣を見つけることになるとはね」
ぬこザル「さてと。洞窟という地形上、君の逃げ場はないのだが、どうするつもりだい?」
ぬこザル「まさかその醜く弱々しそうな魔獣にどうにかさせようとか思ってないだろう――」
「な?」
(威圧と共に、ぬこザルからドッと途方もないほどの量の魔力が溢れ出す)
祭典「こんなんどうやって勝てっていうんだよ」
???「問題ない。我と契約すればあれをすぐさまどうにかすることなど容易だ」
祭典「本当だな!?」
???「約束しよう。邪神グランヘルムに誓って」
祭典「どうすればいい!?」
???「待て。今から契約の為の儀式として契約文をお前の肌に浮かび上がらせる」
祭典「うおっ身体中に文字が」
???「全て魔法文字だからお前には理解することは不可能だろう。だから――」
祭典「契約文ってことは要するに承諾しなきゃ契約は成立しないってことだろ」
???「察しがよくて助かる。つまり」
祭典「全部承諾すればいいんだろ?してやるよ!してやりますともよ!^ ^;」
祭典「全部承諾したァ!これで十分か?」
???「上出来だ」
(祭典の身体中に浮かび上がった契約文が一気に消え失せる。そして、彼の右腕の甲に新しく紋様が浮かび上がる)
???「それは契約紋。契約は成立した」
???「我の影響を受け、今よりお前は人間よりステージが上の存在となった」
???「好きなだけ暴れるがいい」
???「生きるも死ぬも後はお前の魔力次第だ」
祭典「……名前、なんていうんだ」
???「名前?」
祭典「契約したんだ。流石に知らない訳にはいかかないだろ」
???「割に名前などない」
???「あるのはボナコンという種族名だけだ」
祭典「だったら俺がつけてやる」
祭典「今からお前は“祭典の奴隷第一号”だ!略すときは一号な」
一号「助けてやってるのに何故コイツは……」
祭典「いくぞ!一号!!!^ ^」