てんびん@the Bisection
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2016/04/29 (金) 18:49:43
―大坂は道中合気道の町道場に赴いた。道場はそれなりに大きな造りとなっており、木造りの門と看板がある。
書き換えられた看板には「坂道道場」とあり、外から道場の様子を覗けば技を教えている様子が伺えるのは体格がガッシリとした険しい顔の男である。
まだ道場内に練習生も少なく、どうやら稽古が始まった直後らしい。
「へへ・・・餅は餅屋ってな!」
シニカルに呟いた大坂はそのまま足早になり目的地へと向かった。
この日は晴れていたが、道場の門が影となり彼に陽の光が当たることはなかった。
振り返れば大坂にとって坂道は歪な存在であった、ただ強さを求める男が何故DDRをしているのか理解ができなかった。
また大坂自身も坂道に積極的な関わり方をしなかった為、当時は余計によくわからないままの人間だったわけである。
「収まるところに収まるのが一番いいんだよ…」
誰に聞かれるわけでもなく、坂道はまた呟いた。
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