てんびん@the Bisection
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2016/05/03 (火) 17:01:55
怯んでいてはひたすらに遠距離から削られ続ける。
この試合展開自体は予想済みだった刈谷は臆せずに前に出る、幸いにも瞬発力は刈谷が上回っていた。
リングをサークリングしながら左を飛ばす姿勢、それを追う刈谷という対照的な両者だがその距離は徐々に詰まっていた。
ぴゅっ
姿勢の速い左を刈谷が頭を振って外す、既に刈谷の距離である。
刈谷が姿勢のボディへフックを放った刹那、背筋に悪寒が走る―
「!」
―眼前に、膝。
『ヤバい』という直感でどうにか回避したものの、接近戦も並の選手では安全地帯にはならないのである。
再び姿勢が距離を取ろうとした所でゴングが鳴り、1R目が終了した。
緊迫感のある攻防に観客から一斉に溜息が漏れ出す。
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