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【SSなのか小説なのか】DearlyDearlyRejection-筐体上の魔術師-【完結】 / 11

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てんびん@the Bisection 2016/04/30 (土) 21:55:39

「ああもう、わかったよ島沢さん。わざわざありがとな」

「おう」

「…ふざけんなよ」

最初に口を開いたのが大坂だった、島沢も軽く返そうとした瞬間静かな怒りを吐いて出したのは―やはり逆井だった。
最も巧みに手段を選ばず、恐らくはココイチバンの上位スコアラーで真っ当に点数勝負をするなら一番不利な男である。

 「ふざけんなよ!今までの戦いは全部お前ら事情で行われてたってのかよ?こっちはこっちで考えて色々やってんのに・・・」

「色々ってのが何かは知らんが上の事情で流行らせることに協力したのは確かに俺だな、うん!」

「おっまえ!」

逆井は自身でMMDDRに出会い、坂道に教えを請い、大阪や山崎、姿勢たちと出会ったつもりだった。

彼らに対するストロングポイントがバナナの皮であり、煙幕である。手段を選ばず状況に応じて用意した小道具を使っていく事が自身の強さと思っていた。
それ自体は実のところ間違っていない、間違っていないのだ。

しかし、坂道から教えられたMMDDRも元は派遣された島沢が広めたものであって、広めたのは島沢だとしても、広める事になったのは製作側の意図に依るものである。

「俺はお前らにつき合わされてたってのかよ!どんだけ身を削ってきたと思ってんだずえってえ許せねえ!」

「逆井!」

「!」

今にも掴みかかろうとする逆井を大坂が制すると、彼も意外なほどあっさりと身体の力を抜いて身を引き、大坂の腕をどかした。

そのまま面倒そうな顔で逆井は混乱の場を離れていく。足取りはゆっくりとしたままだ。

 「なんかもう、帰るわ、一人になって考える…」

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