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【SSなのか小説なのか】DearlyDearlyRejection-筐体上の魔術師-【完結】 / 10

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てんびん@the Bisection 2016/04/29 (金) 18:58:03 修正

この時点で何となく全員が理解できつつあった。プレイヤー側は反復練習で技術を向上させていけるが、製作側の課題にはいつか限界がやってくる。
これを開発陣は危惧したという事なのだ。これの対策案がプレイヤー同士での妨害合戦を前提としたプレイの推奨である。

「ゲ、ゲェ…く、狂ってやがる!!」

「いやお前らさっきまでやってたから!喜んでやってましたからーっ!残念!」

島沢が皮肉めいた話し方でギャラリーの一人を煽ってみせる、参加者は島沢の話を各々の思いを胸に聞いていた。
ある者は受け入れ、ある者は即座に見切りをつけ、ある者は何も考えられず、ある者は怒りに打ち震えていた。

「まぁそんな感じでその狂ったプレイを流行らせるために送られたのが俺よ!ちょいとツテがあってな、偶々俺も音ゲーの天才だったわけだな。」

「・・・それで」

「AMzoneを発信源としてMMDDRを広めた、とにかく会う奴に吹っかけての繰り返しよ、そうして俺に挑みまくった連中が“塔”の外に散らばっていったってわけだ」

AMzoneとはこの地方におけるDDRのメッカといえるゲーセンである。
島沢がAMzone時代はMMDDR年間最多勝を3年連続で記録している、それも次点を大きく突き放す記録によってである。

「あの異常な試合数はそのせいで・・・」

姿勢が一人呟く。
そこには県外のプレイヤーも、逆井も山崎も橋本もいるにはいたが、島沢の圧倒的存在感にやや気圧され気味であった。

ともあれ、突如としてMMDDRの正体が全てのプレイヤーにとっての絶対的存在者から語られたのである。
それだけは一つの事実であった。

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