「知らない、天井だ」
目が覚めると俺はベッドの上に転がっていた。
「なんでこんなところに?俺はあの時死んだはずじゃ……」
いや、違う。俺は金髪の青年に助けられたんだった。俺は起き上がり辺りを見渡すとすぐそこにその金髪の青年と平井堅を少し年取らせたような顔をした人がいた。
「ん、起きたか。少し記憶の混濁が見られるようだな」
「すまん、ここはどこだ?」
俺は少々不躾だがそう問うた。
「ここは秘密結社だよ。君は先の戦闘、火車の虐殺の唯一の生存者だ。」
とんでもない発言が聴こえた。秘密結社って俺みたいな一般人に言っていいのか?
「多分きみは今、自分が一般人だと思っているだろう、だがそれはつい先日までの、具体的に言えばそこの彼、偽名だけど明星 明君が火車を殺すまでは、だがね。」
「は?どういうことだ?」
「端的に言おう、君はとある天使の生まれ変わりだ。それも無自覚の。」
余計意味が分からない。俺は一般人だ、それに天使なんかいるわけがない。俺は無神論者だ。
「言っておくが君の考えていることはもっともだし、こんなことを言われて納得できるはずがない。その証拠にほら」
平井堅風の男は俺の手にライターの火を当ててきた。とっさの事で反応できなかったが何故か熱くない。なぜなのかはわからない。
「熱くないだろう?君の身体にはとある火にまつわる天使の、能力のみがインプットされている。」
「………なんでこんなことをアンタは知ってるんだ?」
「フフフ、実は私も天使の生まれ変わりでね、私の名前はベリアル、君とは違い完全な生まれ変わりなのだよ。」
ベリアル、その名は「無価値なもの」、「悪」、「反逆者」を意味するとされている堕天使だ。
「さて、君には今から選択してもらわなければいけない、今ここで死ぬか、それとも秘密結社『I-NO』に参加し、この世の全ての神と妖の尖兵共を駆逐するかだ。」
究極の二択だ