残りカス
camel_cricket
2016/08/21 (日) 16:03:50
「うわあああああああああああ」
誰かが叫び、逃げ出した。だが彼は手元の炎を槍のようにし、投げつけた。
炎の槍はまっすぐに逃亡者に突き刺さり、じわじわとその体を焼け尽した。肉の焦げる匂い、髪の毛の焦げる匂い、服の、靴の、下着の、焦げる匂い。単体なら精々顔を顰める程度だろう。だが群体ならそれは吐き気を催し人に潜在的な恐怖を与える、俺は腹の中の物を吐き出した。
「汚ねぇなぁ、死ねよ」
彼は俺を見て顔を顰め槍を投げつけてきた。
俺はもうすでに生きる事を放棄していた、死を受け入ててしまっていた。だが俺はまだ死ねないらしい。俺の目の前に金髪の青年が立ちふさがり、火の槍を破壊した。
「弱ぇえな、この火力、輪入道か、精々火車といったところかぁ?駄目だ駄目だ駄目だ駄目だぁ!俺を焼き殺そうとするならばよぉ…せめて飯綱系の天狗と契約してくるんだなぁ!三下がよぉ…。」
金髪の青年は手を奴に向けた。すると奴の右腕が吹き飛んだ。
「なっ!?不可視の呪文か!?でも魔力は視れないぞ!?糞ガぁ!火車ぁ!」
奴の背後から無数の火が現れ、青年に突撃する。だが青年は手を火に向けると一瞬で全てを消し飛ばした。
「これはよ、只の短機関銃だぜぇ、ただ妖界や天界に存在する金属製なだけだ。」
「は?、銃?我等誇り高き妖怪と同じ土俵に立つことも出来ない下等生物の道具が……?我等を?我ラヲ?傷つけたダトォオオオオオ!コロス!殺す!殺してや――――」
彼は別の、恐らく拳銃を取り出し、奴に向かって銃弾を放った。奴の頭部はザクロの様には吹き飛ばず、蝋燭の煙のようにふっと消えた。
「もし神にでもあったら言っとけ、人間舐めんなファンタジー、ってな。」
俺は緊張の糸が切れたのか、そこで意識が無くなった。
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