「で、此処で本題だ」
神寄はカッコつけて言う。
「まず、お前、南岸が死んだ時。お前は幽霊になったな?そして遠くに円状の平面的な物体を見つけ、そこに行った」
頷く。
「それはお前の推測通り、冥界へのトンネルだ。本来なら、死んだ幽霊は本能的にトンネルを探し、トンネルに入って冥界へ行く。」
「だが、お前はそこを通る事が出来なかった。それはお前が冥界に拒否されたからだ。理由など無い。寿命以外の死に方で、千分の一未満の確率で起こる、ただの自然現象だ」
「そしてお前が冥界に拒否された瞬間、お前は幽霊ではなく、悪霊となる」
「? 幽霊と悪霊って、なんか違うのか?」
「ちょっと違う。悪霊は幽霊と違って、物に触ったり出来るし、しようと思えば実体化もできる。そして何より、悪霊は自らの力で超常現象を起こす事ができる」
「超常現象……?」
こいつは何を言っているんだ。俺がそんなこと出来るとでも?そもそも実体化すらできないし、ましてや、超常現象だなんて。
「超常現象って言っても大したものじゃない。よくマンガに出てくる特殊能力とか、そんな感じのものだ。なんで悪霊がそんなもんを持ってるかは知らんが、まあ多分冥界に入れなかったことへの詫びみたいなものだろう」
「これがまた皮肉なものでな。『自分の一番心に残っている記憶』が概念的な能力として現れるらしいのだが、実際は自分の死因にまつわるものが多い。まあ、死は強く記憶に残るだろうからなあ。俺には解らんが。お前が能力やら実体化やらを使えないのはまだ日数が経ってその体に慣れてないだけだ。使えてもいいことなんてほとんど無いがな」
「……で、その悪霊達のことを俺らは
……よくわからん。
「えーと……簡単にまとめて?」
「冥界に拒否られた奴のことをリジェクテッドと呼ぶ。そいつらは魔法じみた能力を使える」