柿崎だったり
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2018/05/27 (日) 23:41:23
リカだった、隣にサヤもいた。
わたしはうなずく。
「行こう」
リカが言うと、三人で人混みの中を去った。
ムクホークに乗る。地面が遠くなる。
「なんだか、懐かしいような、不思議な感じがしたな。もっと……踊っていたかった」
「何があったんです?」
「わからない。人を探していたようだったけど」
考えてみたら、ただ人に呼ばれただけなのに逃げてきてしまった。何が起きたのかも気になったが、これではわからない。
「結局、なんのお祭りなのかわかりませんでしたね」
「でも踊れて楽しかったよ!」
リカがさっきの踊りのまねをしようとする。ムクちゃんがバランスの変化を感じたのか、戒めるように鳴いた。
わたしは日の沈んだ山脈の赤い空を眺める。
「少し、わかった気がする」
「どうしました?」
「さっき、死者と踊るって言ってたよな」
「ええ」
「本当にそうなのかもしれない」
あの薄暗がりのなかで、昼と夜の間で、ふと、門の影を思い出す。
「あの門は、どこを向いていたんだろう」
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凍結されています。