柿崎だったり
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2018/05/27 (日) 23:36:24
地図だった。
詳細だ。わたしたちが歩いてきた道、この商店がすぐわかる。いくつかの家には現在の当主だろうか、名前が書いてある。いったいどこが作ったのだろう。もちろん、タウンマップの延長といった規模ではない。少なくとも個人名らしきものが書かれている以上は、もっと念入りな調査に基づくものだろう。
「祭りをするのはこの集落の端の祠だ。ここ」
地図の一か所を指でさす。
「今いるのはこの商店。以上だ」
彼は紙をしまい、今度こそ立ち去った。なにやらもう一人と言い合っているようだが、聞き取れずよくわからない。
「紙ごとくれればいいのに」
とリカが文句を言う。
「渡せない事情があるんでしょう。ただ、だいたいわかりました」
サヤはそういうと、小腹を満たすため商店に入っていく。店頭のお婆さんになにやらきいていたようだが、顔を見る限り収穫はあまりなさそうだった。
「場所はわかってますし、大丈夫です……でも」
「どうしたの?」
「いや、どんな祭りなのかとたずねたんですが、『もどりまつり』だと言ってたんです」
「もどり? 神様が戻ってくるからお祭りするってことかな」
「そうかもしれませんね。普段は違う場所にいる神様を迎え入れるお祭りなのかも」
話しながら件の祠のあるという村の東端へと歩く。入ってきた方向と反対側の端。
「もう行くんだ」
「人が少ないうちに調べたいじゃないですか」
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