柿崎だったり
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2018/05/22 (火) 23:33:22
「やっぱり見えるんだね」
「うん、ずっと見えてた」
「不思議だよね、幽霊って」
「ゴーストタイプのポケモンがいるくらいだし、ありえてもいいんじゃないの」
傍らに背の低い少女が立っていて、前を向いたままわたしと話している。幽霊が幽霊を疑う話を。
そして、少女は自らの手を見つめて言った。
「ヒトはモノでしかない。ヒトが死んだって、モノがモノになるだけ」
「でも実際にここにいる」
「うん、だから不思議……わたしというモノはとっくに死んで、それだけ。それだけなのにな」
そんな彼女にわたしは首を振って、
「なんだか似ているな、人間と」
「そう?」
「うん。同じみたい」
少女は少し考えると、
「『むかしはひともポケモンもおなじだったからふつうのことだった』。
もしかすると、わたしは人という皮を被ったポケモンから、幽霊という皮を被ったポケモンになったのかも」
それを言うなら、もっとわかりやすい浸透した概念があるじゃないか。
「それはポケモンをほかの単語でも言い換えられる。例えば……」
「魂じゃない!」
彼女は強くそう言った。
「魂なんていうものじゃない。もっと物質的なものだ。これは、わたしはモノだ」
冷静に話す彼女は、そう言い終えると少しほほえんだ。
わたしも笑い返す。
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