「おいおいおいおい!! おまっ やめっ やめロッテ!」
しはこうはどうしたらいいかわからずただ逃げ惑う。
としあきは今にも首をはねてやると言わんばかりに斬りかかってくる。
「貴様、悪魔なのだろう? なら足掻くぐらいはできるはずだ」
「なんかよくわからんがとにかく悪魔とかなんとか言うやつはなんなんだよ!?アンタが悪魔だろうが!」
「見苦しい、首を差し出せ」
「やだよ」
そうやって逃げ続けていると何かを手に入れた感覚があった。
とにかく追い払えるならなんでもいい、そう思ってその手に入れた感覚がしたものを投げつけた。
「あっち行けって!オレが何したってんだよ!」
だがかなり焦っていたので当たらずに、そのまま壁に刺さった。…刺さった?
「ナイフ…か だが狙いが雑過ぎたな」
なんてことだ。当てて隙を作って逃げるためのチャンスが砕け散った。
…かと思えば、手にはまだ数本もの同じナイフが握られていた。
今度は冷静に狙いを定めて投げる、完璧な軌道だ。
…が、それもあっけなく防がれる。今度は投げる数を増やして投げる、数には余裕がありそうだ。
それも防がれてしまう。そして最終的にはやたらめったら投げつけるオチになった。
だが意外に効果的で流石のとしあきも汗を少しかいていた。
そして見事に一本…彼の肌を掠った。掠っただけだが、それでもラッキーだ。
そして間髪入れず投げつけようとしたが…しはこうの手にナイフはなかった。
そりゃそうだ。やたらめったに投げたナイフは、数千本もする。それで無いのも当然だ。
「残念だったな、諦めろ」
としあきは双剣を手で器用に回し、構えて今にも走ってきそうな状況だ。
しはこうはどうしても生きたかった。何故、悪魔だとかそんなわけのわからないことで死ななきゃならないんだと。
その時、断じて諦めぬと言う精神力が、投げたナイフに力を与え…
「なっ…!?」
大爆破。流石に足元や背後にもあったナイフが爆発したのでとしあきは防ぎようもなく、結構なダメージを与えたようだ。
勿論のこと、そんな一転攻勢の流れが来てしはこうの焦燥や恐怖が一瞬で闘志に変わった。
「そっか…あったまきた(冷静) なんでこうやってお前を圧倒できそうな力を俺は持ってんのにあんな怯えなきゃあならなかったんだ?」
今度はオレのターンだ、という声が聞こえてきそうな感じにしはこうはゆっくり立ち上がった。