それからというもの、しはこうはカラスの怪我が完治するまで学校だって休んでつきっきりで面倒を見た
怪我は心臓まで届きそうなほど深く、どんな名医がいる病院に行っても完治までは1週間以上はかかるうえ、
そこまでお金がなかった だからその時から一睡もせず何か大変なことが起きてもすぐ対応出来るように面倒を見続けた
その甲斐あってか結構深い傷が五日で完治、飛ぶのにも支障がない状態になった
カラスを逃がして学校に行くと、大体の生徒にはズル休みと貶されたがなんとも思わなかった
逆にしはこうの心の中では清々しい気持ちでいっぱいだったのだ
だが、現在置かれてる状況は別 死の淵に立たされている。あるいは既に死んでいると言ったところか。
1つも身動きしないしはこうを見て、店主は不思議に思った。
「彼には何か強い精神力を見た気がしたのだが… おかしいな、普通に起き上がって生きているはず」
「ま、適応がなかったって言うならそのまま遺棄しちゃうかね…とは言ったが…」
しはこうは今誰が見ても死んでいる状態だった。誰が見てもただの死体、そんなもの誰も疑う事は無いのだが…
店主は逆に疑った。
「普通は矢に取り殺されて死体すら残らないはずなんだ だが何故死体として残っている?」
そうやって不思議がっていると、気づけばしはこうの死体にカラスがいた
店主はどこから入ったのか、と思いつつもまたしはこうの死体を疑った
そして 気づけばそのカラスはもう居ない。羽ばたいたのなら羽音が鳴るし、どこも戸締りはしてるはずなのだ。
店内を見渡していると しはこうの体は動き出し、ひとりでに立ち上がった。
アイカラーは紫、何やら黒いオーラが見えた。
「おお!やっぱり見込み通りだったか いつも通りの復活の仕方だ」
店主は大喜びしていた。
「…あれ?さっき矢に刺された気がしたんだけど…」
「おめでとう!君は力を手に入れることが出来たんだ、勿論私には君の能力がどんなものかはわからんがね」
「は、はぁ」
しはこうは複雑な気持ちで店を出た…