ハウスマンの正体はミオソティスが支援していた所謂「本家」、ダフォディル一族の最後の魔術師です。
そして「家」とは彼らダフォディルが代々受け継いだ工房であり、邸宅であり、魔術刻印であり、墓穴でもある「宿木館」と呼ばれた巨大礼装の成れの果てであります。
変種のドルイドを祖先に持つダフォディル一族は生死の流転による一元的永遠性をその魔術理論の中核としており、代々、ダフォディルの人間の死体を「宿木館」に組み込むことで、堆積した魔術回路、肉体及び知識で個体性能を大いに拡充したひと繋ぎの超越者────「墟人(タイタン)」────を産み出し、根源へ到達しようとしていました。
「墟人」の制作はダフォディルの始祖が描いた計画図の通り順調に進み、現在はハウスマンと呼ばれている彼は「墟人」の核となって根源到達への挑戦を実践する役割を与えられた「終わりの当主」。生まれながらにしてダフォディルの断絶と悲願成就の二つの意味を持つ人物だったのです。
しかし、なんらかの理由で────ハウスマンが歴代のミオソティスにその理由を明かした試しはありませんでした────が、完璧だったはずの計画は大失敗。根源へと到達する寸前で「終わりの当主」は命を落とし、「宿木館」と一体化した「墟人」ハウスマンのみが現世に残りました。
ダフォディルの失敗を悟ったハウスマンは当時のミオソティス当主に────もしかすればそのミオソティス当主こそが貴方がた家族のよく知るミオソティスの初代なのかもしれません────一族の願いである根源到達の悲願と執念を託し、ミオソティスを陰ながらにサポートする単なる喋る家として表舞台から立ち去りました。こうしてダフォディル一族は衰退し、ミオソティスは自由を得たのでした。
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追伸:「墟人(タイタン)」は便宜上に近い名称ですので後に変更する可能性があります