kagemiya@なりきり

泥モザイク市 / 97

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ノワルナ:神戸屋上 2019/12/31 (火) 23:10:22

もう、今日の月は沈んだようだ。
「神戸」基礎構造の上層―――現地民は屋上と言ってたか。その上に座って夜空を眺める。
既に今年最後の満月も新月も終えて、沈んだ月は中途半端な形ではあったが。
ともあれ、これで事の解決は来年に持ち越しだ。残念ながら、問題の多くはスタート地点のまま残されている。

はぁ。と小さくため息を吐く。
こうして不自由を手に入れて幾つかの月日を重ねて、自身の中身―――空虚の感情にも変化が生まれてきたと感じる。
例えば、現在に至る失敗への後悔とか、自分の遂行能力を失った無力感とか。
いい傾向ではない。地に縛られてばかりで、自分が澱んでいく。
デフラグでも入れれば調子良くなるか―――あるいはもう寿命かも。

そういえば、次に登る日が初日の出か。なんとなく地球の風習が記憶を掠めた。
太陽。命の源、月の光源。
自分にとっては正反対のようで、本質的には同じもの。
ツクヨミは太陽をあまり好んでいなかった。が。
記憶を辿れば、自分たちの太陽はまた違う。今も彼女は月に残っているはずだ。

「―――太陽、見ておこうかな」

意味はない。ないけれど。
謝っておこう。遅くなってごめんねって。
いつか帰るよって。

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