kagemiya@なりきり

泥モザイク市 / 159

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サンドロ・ボッティチェリ 2020/05/15 (金) 21:30:02

「これっスね…!やわらかな陽の差すこのアングル!人の群との対比がもたらす二人の関係性を暗示する立ち位置!これしかないっス!ありがとう…フィリッポ先生…ブルネレスキ先生…僕はまた新たな真の芸術をこの世に生…み………」

熱に浮かされたような独り言と共に紙面に筆を走らせ続ける男は、密かにその様子を見ていた御幣島の様子にも気づく事なく作業に熱中しはじめた。
時が経つこと数分。彼は完成した一枚のラフ画を長め、満足げにしげしげとそれを眺めた。

「ああ……これぞ新しい美のカタチ!また一つ昇華させることができたっスね………この作品には「常なる愛」と『そこのお前!ミカドの命により止まれ!』

御幣島の呼んだKBEC隊員が彼の肩に手をかける。サーヴァントとしては著しく非力な彼は、過酷な環境で取締りを続けるKBEC隊員に難なく引きずられていった。

「違うんスよ!僕はただ!ああああああああ………!」

その場には、ただ一枚のスケッチブックが残されていた……

……が。それを拾う者が、新たにその場に現れた。それは信じ難い事に……今まさに引きずられていった、サンドロ・ボッティチェリ本人の姿だった。

「もう、通報なんてひどいじゃないっスか、アナタ!おかげで牢屋の僕が四人になっちゃいましたよ、全く…」

まるで御幣島がKBEC隊員を呼んだことが分かっていたかのように、彼は御幣島にまっすぐ向かって話しかける。
彼はそれが当然であるかのように振る舞いながら話を進めつつ、まじまじと御幣島の顔を見た。

「ところでアナタ、どこかで見たっスね……うーん、どこかで………あ!旧大阪の方の僕がマークしてる…………!」
「初めまして!僕はサンドロ・ボッティチェリ。アナタには色々とお世話になってます!よろしくどうぞ!」

状況を置き去りにして、彼はそう名乗った。

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