kagemiya@なりきり

泥モザイク市 / 155

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サンドロ・ボッティチェリ 2020/05/15 (金) 20:44:15

「ふ〜んふんふふ〜ん…♪」

モザイク市、京都御苑。
「二つの国がひとところに在る」と形容されるこの奇妙な街では、常に市内での"戦争"としての諍いが起こっている事で有名だ。
いつも何がしかの紛争が何処かしらで勃発し、治安部隊KBECによって諌められる。すこぶる治安が悪く、それでもなお外からこの街への観光客は絶えない。
その理由の一つが、美しい「戦争」以前の古代建造物、世界に二つとない奇抜な政治体制、街を支配するミカドの住居たる荘厳な城(クレムリ)……

そしてこの男が浮かれた足取りで歩く城下のにぎにぎしいバザールもまた、危険と隣り合わせなこの街を活気づかせる主たる要因でもあった。
ふらふらとした足取りで人目につかないようこそこそと歩き、仕切りに手にしたスケッチブックに何枚もの絵を描き入れていくこの男の視線の先には、愛を確かめ合うように共に歩く、微笑ましいカップルの姿があった。

「フッフッフ……!春の陽気に浮かれる二人の密なるひととき…!この僕が完璧なまでに描きあげて見せるッスよ!!」

それに対するこの男の行動は、何処からどう見ても不審でしかない。だが街ゆく人々の多くは、「またか」と言わんばかりの呆れた目線を男に向けるばかりであった。

サンドロ・ボッティチェリ。中世ルネサンスを代表するこの画家の姿を目にした者が、果たして何を思うだろうか。

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