アンリエッタ・K/"悪竜"のライダー
2019/12/16 (月) 21:21:29
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さて、腕をどの程度まで捥ぎ取られるだろうか──────と身構えていた彼女にとって、その"それ"の反応たるや、逆に彼女を少し驚かせた。
「ひゃ!?」
伸ばした手をすぐに引っ込め、異形態を解除する。これは正解だったかもしれない。
彼女の手は長く触れていれば、精神に異常をきたす呪いが含まれているのだから。
……だが、不可解な謎は深まるばかりだった。
──────と、その時。
重苦しい金属音と共に、辺りの建物が揺れた。
『何事だ!?』
瞬間、彼女らのすぐ近くの地中から──────巨大な、無人兵器の集合体が出現する。
それはあたかも一つの巨大なロボットのような姿をとって、目の前に現れた。
「これは──────!?」
『ほう。これが、妙に無人兵器が多かった理由……というわけだな?』
ロストHCUの一だろうか。無数の無人兵器が集まった、十数メートルにも及ぶと目される巨大な塊は、敵性物体を求めて動き出す。
それはまず、最も近くに在った"それ"に向かい、大きくその巨腕を振り上げた。
「──────危ない!」
何故その言葉が出たのかはわからなかったが、彼女はそう叫ぶ。
ライダーもまた姿を現し、万が一の事態に備えた。
通報 ...
────その巨腕を蝋燭の剣が切り落とした。
『お前か! お前だな! お前だろ絶対! よくもこんな場所の架線壊してくれたなお前!』
くぐもった怒声は蝋燭の剣に照らされた巨人から響いていた。
GRV-10、『クルージーン』。アンリエッタの同僚の愛機だった。