20XX/○○/○○ 発見
見つかった、“星見”のウォッチャー。意外な人から情報を得られた。ずばり、センセイ。
何とはなしに、学校の授業終わりに話してみたら、それっぽい人を知っていると。昨日私たちが一生懸命走り回ったのはなんだったのか。
そのサーヴァントがいるのは、やはり阿倍野塔であっていたようだ。ただし、単に高層エリアにいる、ってものじゃなくて、文字通りてっぺんもてっぺん、構造体のほぼ最上層の屋根にいるらしい。それはラヴェンナさんも見つけられないだろう。だったてあそこ立ち入り禁止だし。
幸い、私は仕事終わりにたまにあそこに寄ることがあって、登り方を知っている。というわけで、私と一緒にラヴェンナさんを連れて、屋根まで登ってみた。
すると、センセイが言っていた通り、それらしいサーヴァントがいた。センセイの知り合いだというと、急な来訪にも特に動じずに答えてくれた。
このウォッチャーのサーヴァントは、真名を「エドウィン・ハッブル」というらしい。確か、天文学関係の偉人だったっけ。幼い姿をしてはいるけど、その目は、空への道が閉ざされた現代でも星々を見つめているようだった。
ひとまず、ラヴェンナさんからの依頼のお手伝いはこれでおしまい。元通りラヴェンナさんを引率して、探偵事務所まで戻ってきて解散した。
疲れた。先に聞けそうな人には聞いておけばよかったな。
そういえば、私がハッブルさんに会った時、彼から変なことを言われた。「君は星を探しているのかい」、だって。
なんのことかと思ってたけど、今こうして書いていてふと思った。もしかして、これは自分のサーヴァントのことだったのかもしれない。
多分、私がラヴェンナさんと松林さんのことを、じーっと見ていたからだろうか。見つめる視線の裏側までお見通しだ、ということなら、……ちょっと、恥ずかしかったかもしれない。