20XX/○○/○○ 探しもの
今日は本当に何も書くことがない、とだけ書いて終わろうと思っていたけど、書くことができてしまった。から、書く。
世にも珍しいことに、放課後にアマナからSOSが来た。私に見せびらかしていたアクセサリが見当たらないのだとか。
自分で探しに探しても見つからなくて、仕方がなく私に連絡してきた、って感じの話し方だった。
別に誰かにケチをつけられるようなことでもないから、断りを入れてココノも呼んで、ついでに遊ぼう、ということになった。
それで、とりあえず探しものといえば、ということで、天王寺の警察署に行ってみた。落とし物として届けられているかもしれなかったから。
当然私とアマナはあまり関わらない方がいい立場だから、ココノに頼んで行ってもらったんだけど……ハズレ。そういうものは届けられていないと、担当してくれた刑事さんは言っていたらしい。
で、次に行ってみたのは難波。私が袴田さんを逃した後、案の定というか、何か仕事をしていたらしい。その関係でしょっぴかれて、その時に落としたかも……とか。
流石にココノのいる前ではそんな物騒な話はできないから、私が仕事をした時に起きた騒動に巻き込まれて落としたかも、ということで、警邏隊の支部に行ってみることにした。
「繋ぎ屋」としては警戒されても、「中学生女子の集団」としてなら、そこまで手荒には扱わないだろう。……なんて、ココノを連れてきたことに打算を働かせている自分が、嫌になるけど。
結果としては、アタリ。どうも捕縛直後に落とし物として届け出られていたそうで、事情を知っていそうな隊員の胡乱な眼を前に、アマナは流石にバツが悪そうに必要事項を記入していた。
逆に、何も知らないココノはニコニコ笑っていて、見つかってよかったなあ、なんてアマナにも言っていたりして。その笑顔のおかげで、ちょっと場も和んだ気がする。
その後は、ココノの方から、例のスイーツビュッフェに行こうという話があった。アマナは店を知っていたみたいで、その後は、スムーズにそちらへ行こうということになった。
……あの子は、自分ではご飯を食べないけど、食べるのを見ているのは好きだという。
自分はもう得られないもの。でも、あの子はああして笑って、私達が美味しいと思えるであろうものを見つけて教えてくれたりする。
その心の強さは、私には真似できないと思う。何かあの子に報いることもできない、私はそんなものでしかないのに。眩しくて、少し妬ましく ダメ。これ以上は書いちゃダメ。書いたら本当になる。
……でも。結局のところ、それを抱えたままの私は、三人での時間を楽しく過ごしたようには振る舞えたんじゃないだろうか。
嫌だな。私、嫌だな。こんな隠し事だらけの心、見せられない。