ふと気が付くと、俺は電車に揺られていた。
……いつの間に、俺は電車に乗っていたんだろう。いやそもそも、俺は何処に向かっているんだ?
学校……いや、学校は徒歩圏内にあるから電車に乗る必要はない。駅前…?いや、そこに行くぐらいだったら歩いて電車代を浮かせたい。
……まずいな。思い出せない。昨日結構強めにコンクリートに頭ぶつけたせいか…?いやでも特に意識とかは飛ばなかったし……、血も出なかったし……。そんな後遺症がある筈が……。
いや、過ぎたことを振り返っていても仕方がないか。まずはこの電車が何処に向かってるのかから知るとしよう。
アナウンスか何かがあればいいんだが、車内は大分静まり返っている。周囲を見渡しても人はあまりいないようだった。
どうしたものか……。そうだ、ひとまずは別の車両に行こう。そうすれば、何か乗客がいるかもしれない。
いた。
別の車両に繋がるドアを開くと、穏やかそうな青年がため息をついている様が目に飛び込んだ。
ひとまずは、此処がどこなのか……というより、この電車は何処に向かっているのかを聞くとしよう。
まぁ、分からなければ分かる人が来るまで待てばいいか。
そんな心持ちで、俺は穏やかそうな雰囲気を持つ青年に対して声をかけた。
「あの……すいません。
この電車について……何か知っている事はありますか?」
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