五姓各別では、声聞の覚りの種を持った「声聞定姓」と縁覚(独覚)の覚りの種を持つ「独覚定姓」、菩薩の覚りの種を持つ「菩薩定姓」といった感じでそれぞれの境涯に即したそれぞれの「覚りの種」の存在が重要視されます。これこそが「種子説」でいうところの〝種〟そのものです。
ではこの三乗の境涯のそれぞれの覚りが何かと言いますと、声聞に対して蔵教で説かれた実体に即した真理 ---(此縁性縁起)、縁覚に対して通教で説かれた実体を空じた真理 ---(相依性縁起)、そして菩薩に対しては別教で而二不二が説かれ此縁性縁起と相依性縁起を合わせた「色即是空 空即是色」がそれぞれその種にあたります。
声聞の覚りの種=色即是空(此縁性縁起)--- 仮諦
縁覚の覚りの種=空即是色(相依性縁起)--- 空諦
菩薩の覚りの種=色即是空 空即是色 --- 中諦
これは凡夫の相(仮観)・性(空観)・体(中観)における真理となる「凡夫の三諦」です。
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