ステップ1である蔵教の「九次第定」は、三乗の境涯の中でも一番低い声聞衆に対して示された教法です。
声聞は仏門に入っても未だ実体思想から抜けきらないでいる境涯です。その蔵教の声聞衆にも理解出来るようにお釈迦さまは実体に即した四諦を説かれます。それが「三転法輪」の第一時の説法(第一ステップ)です。
<蔵教での四諦の説法>
苦諦 - 迷いのこの世は一切が苦であるという真実。
集諦 - 苦の原因は煩悩・妄執、求めて飽かない愛執であるという真実。
滅諦 - 苦の原因の滅という真実。
道諦 - 悟りに導く実践という真実。
四諦の中の最後の「道諦」の実践として八正道が説かれます。
1)正見(正しい見解)
2)正思(正しい思惟しゆい)
3)正語(正しい言葉)
4)正業(正しい行い)
5)正命(正しい生活)
6)正精進(正しい努力)
7)正念(正しい思念)
8)正定(正しい精神統一)
その中の8)正定が「禅定」にあたります。
八正道にあっては1)の正見を得る為に7)の正念と8)の正定が重要な要素となります。
正見とは、仏道修行によって得られる仏の智慧であって、四諦の真理などを正しく知ることで得られます。その四諦の真理を覚っていくことを四念処といいますが、7)の正念がそれにあたります。
8)の正定とともに正見である仏の智慧を覚っていく為には「正念=四念処」と「正定=禅定」は八正道において大変重要な内容です。
<四念処の内容>
身念処(身念住) - 身体の不浄を観ずる(不浄観)
受念処(受念住) - 一切の受は苦であると観ずる(一切皆苦)
心念処(心念住) - 心(citta)の無常を観ずる(諸行無常)
法念処(法念住) - 諸法の無我を観ずる(諸法無我)
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