男が徐々に冷静になった様子を見た丸くてでかい物体はさらに言葉を続けた。たかが男1人を捕食出来なかったからといってそこまで問題ではないと考えたため、命乞いしてくる男を捕食せず助けたようだ。また、今回の舞台が登山も気軽に出来るような山なので他にも美味そうな人間はそこそこいるだろうと思ったのも理由だろう。
男「とと、と言う…事は、俺は、助かったんですかか…っ?」
一連の発言を聞いた男は丸くてでかい物体に尋ねた。
丸くてでかい物体「アア、ソノ認識デオーケーダ。オマエノソバニイタ他ノ奴ラハ食ッチマッタカラアレダガ、怖ガラセテ悪カッタナ。」
丸くてでかい物体は男に謝罪の意を示した。人間を捕食しまくる怪物とは思えない態度である。
男「あああ、ありがどうございますすっ!」
男はまだどもり気味だが、自分を見逃してくれた丸くてでかい物体、いや怪物に対してお礼をした。
丸くてでかい物体「フン、礼ナドハイラヌ。元々ハ俺ガオマエヲ食オウトシテ怖ガラセテシマッタカラナ。」
男「は、ははは……い、いえ!」
男は先程まで自分を捕食しようとした怪物を目の前にしているとは思えない安堵の表情だ。自分が助かった事に喜ぶあまり、怪物に食われたツレの事などはとっくに頭にないようである。典型的な喉元過ぎれば熱さを忘れる性格なようだ。
丸くてでかい物体「マア、ソウ言ウ事ダ。俺ハモウ行クカラ、ジャアナ。気ヲツケテ帰レヨ。」
丸くてでかい物体は男に別れの挨拶をし、気をつけて帰宅するよう声をかけ、その場をあとにしようとした。
通報 ...