雑貨屋「このガードを抜けるのは少々面倒くさいな……。しょうがない」
雑貨屋は、つば競り合っている最中であるのにも関わらず、力ませていた身体を脱力させた。
それによって、押し合っていた力の片方がなくなったことで均衡が崩れ、この瞬間まで雑貨屋の剣を押し退けようと踏ん張っていたアポかどの身体の体勢が前のめりに崩される。
アポかど「うあっ……」
雑貨屋「フンッ」
━━━はかしこ流剣術《勁剣撃》
次の瞬間、アポかどの全身に激痛が走る。全身の肉という肉が破裂し、骨という骨が砕けた。
今アポかどに起こったことは、雑貨屋が繰り出した剣技によるものである。
これは、敵とつば競り合った状態から全身の筋肉を弛緩させ、そこから瞬間的に最大まで筋肉を膨張させることで凄まじい衝撃を生み、その衝撃を接した状態にある己と敵の剣を通して敵に流し込むことで、敵の肉体を体内から破壊する技。アポかどの身体はこれによってズタズタにされたのだ。
アポかど「……っ……かはっ……」
全身から血飛沫が噴き、口からは大量の血が流れる。アポかどは一瞬の内に血塗れとなった。
雑貨屋「これでもまだ動かせられるのか……!」
しかし、それでも、雑貨屋が追撃で放った斬撃をアポかどが手に持つ聖剣は防いだ。
瀕死状態のアポかどの身体を酷使してでも 、聖剣はアポかどを守り続けていたのだ。
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