聖剣はアポかどと一体化しているらしく、雑貨屋が無理矢理手放させようとしても、霧散するように無数の光に粒に分かれてアポかどの体内に消えてしまった。
結局、雑貨屋は聖剣を取り戻すことができなかった。
雑貨屋「…………」ボケー
アポかど「おい……。おいって。お前の大切なもの取っちゃったの悪かったって。でもあのときはしょうがなかったんだよ。いきなり魔人がこっちに向かってきたから咄嗟に近くにあったあの剣を手に取るしかなかったんだよ」
雑貨屋「…………」ボケー
アポかどは、ショックで放心し続ける雑貨屋と一緒にいるのが気まずすぎて参っていた。かれこれ二時間はこんな状態である。
そんな中、ようやく雑貨屋が口を開いた。
雑貨屋「……お前」
アポかど「ん?」
雑貨屋「さっきの光、どうやって出したんだ?」
アポかど「どうやってって言われてもなぁ……。なんとなく思いっきりあの剣を振り回したら出たとしか……」
雑貨屋「なんとなく、か……。僕が聖剣の権能を使うときは繊細な魔力コントロールを要するというのに、なんとなくで、しかも権能の中でも難易度の高い《聖覇斬》を出すことができるというのか……。それも、あんな巨塔と見紛うような巨大な光を……。所詮、僕の力は勇者の模倣でしかなかったのか……。どおりで聖剣はいつまで経っても僕を認めてくれない訳だ……。くは、ははは」
アポかど「……いや、ほんと申し訳ないとは思ってるんだって」
いきなり自虐し始める雑貨屋に居たたまれなくなるアポかど。
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