自由に持ち出しが可とされている聖剣だが、流石に四六時中一人の勇者候補が独占することは許されていない。といっても、勇者にもなっていないのに聖剣を持ち出そうとしてる者など、雑貨屋くらいだが。ゆえに、聖剣は定時になると、聖剣を収めるための祭壇に戻さないといけない。
聖剣の番人「雑貨屋か」
雑貨屋「聖剣を戻しに来たぞ」
聖剣の番人「うむ」
雑貨屋は番人に頷き返すと、祭壇場に上がり、祭壇の中心にある縦長の穴に聖剣を突き立てた。
雑貨屋「じゃあ、いくぞ」
聖剣の番人「…………」
雑貨屋「…………」
番人の様子をチラリと横目で確かめてから、雑貨屋はその場を去った。
雑貨屋(ふっ。上手くいった。上手くいきすぎて思わずこの場でコサックダンスを始めてしまいそうだ!節穴の番人め、あれは偽物の聖剣だ!)
そう。彼は複製した聖剣をオリジナルと偽って祭壇に戻すことで、番人の目を欺いたのだ。聖剣を外に持ち出すために。
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