~雑貨屋の回想~
一人、勇者候補専用の訓練場で
雑貨屋「ぐっ、重いな。それに、聖剣が秘める権能もまだ引き出しきれていない。だが、いずれは使いこなせしてみせるぞ」
雑貨屋がひたすら修練に励む傍ら、同じ訓練場で鍛練する勇者候補達は雑貨屋への陰口を口にしていた。
勇者候補A「見せつけやがって。何様だよ」
勇者候補B「ちっ。すこし魔法剣の扱いが他の勇者候補より巧いからって調子に乗ってやがる」
勇者候補C「運よくはかしこ様に師事できただけの分際で……」
勇者候補D「あんなクソみたいな性格でも才能だけは恵まれるんだな。世の中理不尽だぜ」
疲労が重なり集中力が切れてきた雑貨屋の耳にもポツポツと陰口は入ってくる。だが、彼はそれを気にしない。慣れきっているというのもあるが。
雑貨屋(ふっ、言わせておいてやる。勇者候補の時点でお前らがただの凡人に比べて非凡なのは理解できる。だが、僕に比べれば凡骨同然。ただでさえ、格差のある君達から発言の自由を奪うのも可哀想だ)
雑貨屋は陰口を気にする以前に、過剰なほどの自信家であり、図太かった。
通報 ...