みんポケ!

【SS】クソコテ達の戯れ合い / 9

28 コメント
views
93 フォロー
9
雑火屋 2017/06/03 (土) 23:45:47

「戯れは終わりにしよう。良い争いだった。苦しむことなく殺してやろう」

 ヒレカツあの腰に付けられた数十にも及ぶ鞘には、さっき壊されたはずの短刀が刺さっていた。短刀はさっきと同じように宙に浮遊し、さっきと同じように高速で動き始めた。

「ワンパターンだな、そんな数だけの剣で俺は殺せない。神域、ヘファイストス!」

 雷霆が己の真名を叫ぶと、拳に纏った雷は更に勢いを増し、

「翠ッ!」

 特に意味もなさそうな言葉を吐いて、さっきと同じように超速で舞う斬撃を叩き壊した。
 ちょっとワンパターンすぎやしないか。こいつ実際大して強くないんじゃ─────

「残念だな。惜しい命をまた一つ。では。さらばだ」

 その瞬間、雷霆の背後に短刀が現れ、いや、違う。元々雷霆の死角に潜んでいたのだ。ソレが、雷霆が他の短刀を壊した瞬間に、不意を撃つように放たれて

「雷霆!逃げろ─────」

 叫ぶも既に出遅れ。音もなく放たれた刀が、雷霆の首を射抜いた。

「がっ───ぁ──────!?」

「悲しい。如何に武勇を振るう大英雄も、思考の外から穿たれる暗器にはまるで無力。そう、まさにヒレカツの如く………」

 雷霆が死んだ?いや、そんなわけにはいかない。奴は我が計画のために必要な駒だ。仕方ない、私が今出向くとしようか─────!?今俺は何を考えていた?計画?駒?なんだそれは、俺はそんなこと知らない、なのに、何故─────

「開眼、私は掴み取る者。名乗るに、"オルタナティブ"。」

 俺の口が勝手に動いて、俺のわからない言葉を喋った。

通報 ...