雑火屋
Colt_M1877
2017/06/03 (土) 23:45:47
「戯れは終わりにしよう。良い争いだった。苦しむことなく殺してやろう」
ヒレカツあの腰に付けられた数十にも及ぶ鞘には、さっき壊されたはずの短刀が刺さっていた。短刀はさっきと同じように宙に浮遊し、さっきと同じように高速で動き始めた。
「ワンパターンだな、そんな数だけの剣で俺は殺せない。神域、ヘファイストス!」
雷霆が己の真名を叫ぶと、拳に纏った雷は更に勢いを増し、
「翠ッ!」
特に意味もなさそうな言葉を吐いて、さっきと同じように超速で舞う斬撃を叩き壊した。
ちょっとワンパターンすぎやしないか。こいつ実際大して強くないんじゃ─────
「残念だな。惜しい命をまた一つ。では。さらばだ」
その瞬間、雷霆の背後に短刀が現れ、いや、違う。元々雷霆の死角に潜んでいたのだ。ソレが、雷霆が他の短刀を壊した瞬間に、不意を撃つように放たれて
「雷霆!逃げろ─────」
叫ぶも既に出遅れ。音もなく放たれた刀が、雷霆の首を射抜いた。
「がっ───ぁ──────!?」
「悲しい。如何に武勇を振るう大英雄も、思考の外から穿たれる暗器にはまるで無力。そう、まさにヒレカツの如く………」
雷霆が死んだ?いや、そんなわけにはいかない。奴は我が計画のために必要な駒だ。仕方ない、私が今出向くとしようか─────!?今俺は何を考えていた?計画?駒?なんだそれは、俺はそんなこと知らない、なのに、何故─────
「開眼、私は掴み取る者。名乗るに、"オルタナティブ"。」
俺の口が勝手に動いて、俺のわからない言葉を喋った。
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