「恐ろしいまでの力だ。こと打撃において。汝の上を征くものはそういまい。今はもう忘れてしまったが。この身は汝のような相手を求めていたのかもしれぬ。ヒレカツあ。全霊で参る……ッ!」
「誠ッ!」
鋭い刃を、雷霆は素手で弾く。その瞬間に雷撃が迸り、周りの作物を瞬時に燃やした。酷い。勿体無い。場所を変えてほしい。
「ハァッ!」
「統ッ!」
ヒレカツあが流麗な刀さばきをこなし、雷霆はそれに雷を纏った拳で応える。両者一歩も引けを取らない苛烈な闘い。さっきから雷霆が絶ッ!だの誠ッ!だの統ッ!だのと言っているが、おそらく意味はないのだろう。そのうち猫ッ!とか言い出しそうなものだ。
「猫ッ!」
「ぬぅ……!」
本当に言い出した。ちなみにこの間、俺はただ遠くで見物してるだけである。農地は最早どうしようもないくらいに荒れ果ててはいるが、何ができると言うわけでもない。即座に再生するとはいえわざわざ痛い目に逢いたくはないのだ。今後暫く、居住区の食事は雑草になってしまうのだろう。野菜を身体に宿し常時栄養補給ができる俺には関係のないことだが。
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