エイリアンに侵略された街。瓦礫に残された嘗ての面影は、彼らの残酷さを見事に表している。建築技術がないのか、ただ単に今は殲滅に専念しているからなのか、前者だと思い込んでいたいが、突如地球に降り立った、向こうに見える「船」以外に彼らがこの地球に作り出したものは何処にもない。
彼らは未だ地球に残存している原生生物を鼠一匹残さず殺す為に、常に荒廃した街をふらふらと歩いている。しかし俺はこうやって、堂々と道の真ん中を歩いていても、彼らはこちらに目を向けさえもしない。
幸か不幸か、俺はもう「生き残り」には分類されてないからだ。
エレベーターがもう機能していないことに溜め息を吐きながら、廃墟と化したマンションの階段を駆け上がる。
目的地、506に到着した。ドアに鍵がかかっていることを確認し、誰かいますかーとノックする。
「山」
「川」
誰にだってわかるような、数百年前の使い古された暗号だ。機能性を棄てて憧れを優先するのは厨二病の悪いところである。
鍵が開く。早速遠慮なくドアを開けてみると、そこには武装した若い男が立っていた。
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