伊達から繰り出されたのは渾身の拳。
──────来た。
俺の刀が、やつの拳を受け止める。
刀は拳に押され、ミシミシと今にも折れてしまいそうに嘆く。
だが俺はその刀の嘆きに反するように、刀を振りはらい、その拳を切り裂く。
「ぐがっ!!」
伊達は思わず声をあげた。
──────今だ。
そう思うと同時に俺はやつに更なる苦しみを与えるべく、次の行動へと体を移していた。
俺の狙いに気づいたのか、伊達はハッとしてこちらをむき、すぐさま回避の行動にうってでる。
─────が、もう遅い。
「【斬戟】返し胴」
刀は俺の考えに呼応するかのように動き、伊達の脇腹から腰を切り裂いた。
部屋に舞った鮮血たちは、金箔の障子を、掛け軸の半紙を、何もかもを赤く染めるかのように周りへと飛び散り、部屋を美しく彩った。
俺は刀を払って鞘へとしまうと、哀れな姿で倒れている敗者の横を通り抜ける。
勝者らしく、敗者を蔑むように、ニヤリと嘲笑って。
横たわる敗者────伊達の顔は、倒せなかったことの悔しさと負けてしまったことの悲しみの感情で埋め尽くされていた。
それは、今だかつて、彼が体験したことのなかった、感情だった。
……………………こんなんでどうっすかねえ………
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