「ちょっと借りるであり〼」
近くの店に置いてあったチェーンソーを手に取る。その瞬間チェーンソーの刃が突然錆び始めた。鬱モナーはひったくりに
近付きその足にチェンソーを当てて回転させ始めた。ひったくりは絶叫を上げる。いっそひと思いに切った方が何千倍も痛
みは少ないだろう。だが刃が錆びている。そう簡単には足は切れない。辺りに血をまき散らしながらチェーンソーは絶叫と
共に解体の
片方、それも終わったら腕、それも終わったらもう片方。それが終わった時ようやくチェーンソーは鬱モナーの手を離れ
た。ひったくりも俺も通行人も安堵した表情を浮かべる。だがそれも束の間の幸福。鬱モナーは鋸を取り出した。それも刃
が所々欠けており錆ついてから何十年経過したのかと言うほどのものを。
「凌遅刑って知ってるであり〼か?中国がまだ清だった時代にあった刑罰の一つであり〼。生きたまま人を刃物でそぎ落とし
ていくのですが、嗚呼、それはもう痛いであり〼よ。本来なら8回目くらいで殺されてしまうであり〼。ですがそれだと甘美
な痛みは訪れないであり〼。ゆっくり、ゆっくり、牛歩が如き引きで削いであげ〼。死にたい程の絶望と、生きたい程の絶
頂を、貴方の身体に刻みましょう。」
俺は逃げ出した。脱兎の如く逃げ出した。奴は狂ってる。いや、この街全体が狂ってる。あんな混じりっ気のない狂気にあ
てられたら耐性の無い人間や心臓が弱い奴は死ぬ。比喩でもなんでもなくそのままの意味で死、だ。俺にはあんなもの耐え
られない。だがどうする?ここの住民に頼ることは出来ない。どこに行く?――――――そうだ!壁沿いに行けばいいっ!西が東なら
異名だけなら圧倒的にわい、つまり東の方がいいな!ていうか【HAPPYLIFE】なんて
(ジャンキー)だろ、明らかに。俺は東に向かって走り出した。
通報 ...