???「いきなりひでぇよぉ……。めんこいツラして人をいきなり殺そうとしやがって。流石の俺も怒っちまうぜぇ~」
どのようにしてなのかはわからないが、美女Aからの攻撃から逃れた男は、土塊の上でしゃがみながら飄々と空を仰いでいた。
先程と変わらない覇気を感じさせぬ様相が、今では逆に異様であった。いや、男には一つ変化したことがあった。それは、剣から垂れる真っ赤な血液である。彼が剣を抜いたときには、そのようなもの付着していなかった。
美少女C「……一応、警戒した方がいいわね」
美女B「そのようね」
一流の戦士である彼女達は、仲間が死んだにも関わらず、状況を冷静に判断していた。
???「そんな暢気でいいのかぁ~?」
美少女Cの真横から、そんな間延びした口調で問う男の声が聞こえた。
美少女Cは動揺することなく、神速の体捌きで剣を抜き放ち、男の声が聞こえた方へとそれを叩きつけた。
――ガキィィン
金属と金属がぶつかりあう音が辺りに響き渡る。
???「嬢ちゃん、良い太刀筋してるなぁ。いやぁ、将来が楽しみだぜぇ」
美少女C「黙って死ね」
???「ま、そんなものねぇけどな」
男がそう言うと、美少女Cの剣は上へと弾かれる。男が、つばぜり合った状態から美少女Cの剣に自分の剣を絡めるようにひっかけて下から押し上げたのである。
美少女C(なっ!このような男に私がこんなにも簡単に……)
――スパーンッ
美少女Cの首が宙に舞う。
次の瞬間、男と美少女Cがいる場所が爆ぜる。周囲からの魔法による集中砲火である。
しかし、美少女Cを斬った直後だというのに、男はそれを難なく回避し、包囲陣から抜けるように着地する。
美女・美少女一同「「…………っ」」
アルト「中々やるねぇ、君。見た目はゴミに等しいけど、なぜか強いね」
???「ハハッ。そりゃどーも。英雄様に誉められちまったよ、俺」
アルト「皆、下がっててくれ。僕が彼の相手をしてあげよう」