みんポケ!

【SS】生存者、一名 / 14

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残りカス 2016/08/01 (月) 19:56:18

「うわああああああああああああああああ」
走る走る走る、それでもアイツは降り切れなかった。突然襲い掛かって来たアイツは僕―――ディアルガ―――を嬲るように攻撃する。
僕はアイツの攻撃や鬱蒼と茂る樹々の枝で無数の切り傷を負っていた。自称世界一諦めの速い高校生である僕は幾度とも走るのをやめようとした。だがアイツはその度に本気の攻撃を僕に仕掛けてきた。アイツにとって僕は人間ではないだろう、たぶん狩人に追われるウサギ程度にしか思われてない。いや、自分を過大評価しすぎだ、アイツにとって僕は動く玩具、踏みにじられる蟻なんだろう。
「オラオラ、もっと逃げろもっと逃げろ、お前が逃げれば俺様が楽しめるんだからよぉ!」
アイツは訳の判らないが宙に浮かぶ鯉に命令して鱗を飛ばす。その鱗自体は当たっても少し痛い程度だがその線上にいるとやばい。周りの大木が一瞬で斬れる。あれに当たると僕みたいなひ弱な人間は一瞬で死ぬ。
「ひいいいいいいいいいいいい!来るなあああああ!」
自分で聞いてもバカみたいな悲鳴を上げながら僕は逃げる。だけどアイツの倒した木が上手く通せんぼしてこれ以上先には逃げられなさそうだった。
「はぁ~ここにいるってことはスタンド使いだと思ったんだがなぁ、暴走かまだ発現していないだけかは知らねぇがてめぇは俺様の時間を無駄に取らせやがって、『大正三色』やれ。」
大正三色と呼ばれた鯉が僕に向かって鱗を飛ばす。僕は這い蹲って匍匐前進の様に倒れた大木の下を通り抜け回避する。
「あぁ?俺様の攻撃を避けるなんてゴミがっ!」
アイツは大正三色を踏み台にして二段ジャンプをして大木を飛び越えて僕を踏みつけてきた。
「オラッ!オラッ!これでどうだッ!」
「オェッ……」
アイツは僕の体を何回も何回も蹴ってきた。僕は嘔吐し体中に痣が出来た。だけどアイツはいきなり蹴るのをやめてきた。何かと思い見上げると
「なんだよおおおおおおおおおおおお!何なんだよおおおおおおお!これはよぉおおおお!」
アイツの体中に植物の様な物が無数に生えていた。
「おまえが………お前がやったのか?」
アイツは僕がやったと思ってるみたいだった。だけど僕はあんなことは出来ない。出来たら自分でもびっくりする。
「糞がッ!ゴミがッ!俺様にッ!攻撃してんじゃあ!ねぇよ!」
アイツはまた攻撃しだした。痛かった。でもアイツが僕を蹴るたびにアイツの体の植物みたいなのは数が増えていった。
「いてぇよ…いてぇよ…体の奥底がいてぇ、胸がいてぇ、腹がいてぇ、頭がいてぇ、体中がいてぇよぉ」
アイツはまた蹴るのをやめて悶え苦しんでいた。そして、アイツは死んだ。
「ハハ、ハハハ、ハハハハハハ、僕が殺した、僕が殺してしまった、僕は人殺しだ、殺人者だ、ハハハハハ」
哂い声が空しく響き渡る森の中、僕はアイツが持っていたナイフで首を掻っ切った。

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