ひとしろ
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2019/10/13 (日) 19:42:54
あなたが入って来れば、ちらと視線をやり。
「ん。私ですか」
こちらにもつまみを、と、あなたに便乗して注文した。
「いやあ、これは場違いだったかなとは思ったんですけどね、ははは。そういうところもお伺いしたほうが、今後のためになるでしょう……長い付き合いになりそうな国ですからねえ。そう言う坊やこそ、」
と言ったところで、改めてあなたを見た。二秒ほど逡巡し、
「いや、失敬。坊やってお年頃じゃあない。もしやここの常連さんですか? よければこの国のことを教えていただけませんかねえ。ご覧の通り新参者でして。とりあえず旅人……、 ……あー、えーと、冒険者? そう、冒険者に向いた宿屋だとか。お礼に一杯奢りますよ」
いかにも人の良さそうな笑みを浮かべる。
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坊や、と言われればじろりと視線を向けた。が怒るでもなくフンと鼻を鳴らしてつまみを頬張る。
「……別に、わかってて来てるならとやかく言うことじゃないがな。
あと残念ながら俺は常連じゃあない。あんたと同じ旅人だしここへも来たばかりだ。
こういう空気に多少慣れてるってだけのな。」
エスターの笑みとは対象的に皮肉めいた笑みで口角を上げてみせた。
そうしてこめかみを指でコツ、コツ、と叩きそれは記憶を辿るような仕草
「…ここいらで良さそうなのは雪割ってとこだろうな、……冒険者に向いてるかどうか、は知らねぇが
少なくとも、右も左も分からない奴が身を置いてある程度安全は保証されると見るね」