~メラーの家~
色付き文字
雑草を掻き分け、大きく踏み出しながら歩く。
全くと言っていい程手入れのされてない、人を通す気もない玄関周り。
ここを通るだけで、かなり苦労するのだ。
やっと呼鈴のある場所にたどり着き、プッシュ。
ピンポーン、と、軽い音が鳴る。
「はーい、なんですかー?」
がちゃり、ドアの開閉音と共に、女の人が出てくる。
「すみません、メラーいますか?」
「メラーならさっきオーキド博士のところに行ったわよ?」
……入れ違いじゃないか。
「ありがとうございました……」
「あなた、今日から旅に出るんでしょ? あの子をよろしくね」
そんな事をいうとともに、すぐにドアを閉められてしまった。
「はぁ……なんでまた入れ違いなんかに……」
まぁ、そのこと自体は嫌じゃない。嫌なのは、この雑草の中をまた歩いていくことだ。
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