「誰だ!敵かッ?」
【術聖】袁道はアーティファクト『渇望の蜜水』という流線形の杖を手にして一歩前に進み一年生をかばうようにして問いかける。
バシュッ――――
突然袁道の体が爆発四散する。それと同時に【火士】『ジャンリ・ウォーカー』はマッチ型アーティファクト『無限マッチ』を使い着地点らしき場所を炎の壁で囲む。また【影】『風磨小太郎』は手裏剣型アーティファクト『風磨手裏剣』を、【音楽師】『巾木 林檎』はドラムスティック型アーティファクト『Blackbird』を構える。
「~♪」
炎の壁が突然爆風で消える。砂煙も同時に晴れ着地点も目視できるようになる。そこにいたのはミサイルランチャーらしきものを持った少年の姿だった。
「あなたは誰ッ!答えてッ!」
巾木 林檎は少年にそう問いかける。
「~♪ん?知らない?この曲?君のアーティファクトはリンゴ・スターのでしょ?だったら知ってるべきだと思うけどなぁ……Ticket to Rideってビートルズの曲だよ。」
少年は的外れな回答を言う。ジャンリはそれを聞いて怒ったのか『無限マッチ』の炎を少年に襲い掛からせる。
「もー、困るなぁ。せっかちな子は嫌いだよ?」
少年はミサイルランチャーを地面に落とし腰から二丁の拳銃を取り出す。それをジャンリに向けて放ち眉間に命中させる。
「僕の名前はブラッドノック、【リミッドブレイク―制限-】とも言われている。」
少年―――ブラッドノック―――は拳銃を腰のホルスターにしまいミサイルランチャーを拾う。
「そうか、お前はリミッドブレイカーか…………ッ!そうだ!おい貴様!アルビス、アルビス・ファーブルはどうした!」
「アルビス?ああ、あのお爺さんか!その人なら殺したよ、中々手強かったけど僕とは相性が悪かったみたいだね。」
そう言ってブラッドノックは人の手を小太郎に放り投げる。それは少し焦げてもいるが紛れもなくアルビス・ファーブルの手だった。
「………貴様ッ!ここから生きて帰れると思うなよッ!」
小太郎は『風磨手裏剣』をブラッドノックに投げる。そして何らかの印らしきものを組むと風磨手裏剣が100を超える数へと分身する。
「ちょっと待ってくださいよ!私も手伝いますっ!」
林檎は『Blackbird』を空を切るように叩くと衝撃波が発生し風磨手裏剣を加速させる。
「そんな物僕には何の意味もないよ。【リミッドブレイク】だ、パスポート」
『【リミッドブレイク―制限-】の使用命令が出されました・・・・・・・・使用許可出ました。』
ブラッドノックがどこかと通信しているように話す。すると空から謎の声が辺りに響きわたる、と同時にブラッドノックがミサイルランチャーを構え反動や弾切れを気にしない様子で風磨手裏剣を破壊する。視界が開けると二兆拳銃を取り出し一発ずつ小太郎と林檎の眉間に銃弾を撃ち込む。