「やべぇぇぇ遅刻しちまうッ!」
俺は
「糞ッ!もっと早く速く走らなければ間に合わないッ!」
前日にワクワクしすぎてようやく寝付けたのが5時、起きたのは11時だ。迎えの車が来る場所への集合時間は12時で大体家から歩いて1時間半で着く相当急がないと間に合わない距離だ。
「ワクワクしすぎて眠れないって俺は遠足の前日の小学生かよ!」
昨日の自分に悪態をつけながら全速力で駆ける。もちろん人に当たりそうになったら華麗なステップでかわす、かわす、かわす、かわす――――あ、これは躱せないな。
「ちょっとどいてえええええええええええ」
突然路地裏から出てきた少女に叫んでみるが当然人間はそんなに早くは動けない、飛び出すな 車は急には 止まれないというフレーズがあるがそれは人にも当てはまる事だったらしい。
ゴツッ!
馬鹿な事を考えていると案の定少女にぶつかったようだ、痛い。ぶつかった頭が割れる程痛い。人間ってこんなにも堅いのか?、疑問に思い頭を摩りつつ前方を見て見ると其処にはアルファベットが無数に連なる白い壁があった。
「あれ?俺は少女にぶつかったと思ったんだが……まあ気のせいか、それより速く行かんと置いてかれる!急がないとなッ!」
少し疑問に思うところだったが大事な用事があることを思い出してまた喧騒の中へと駆けていく。壁が見えなくなるほど離れると壁が突然消え去り早紀とぶつかりそうになった少女が現れる。
「ふむ、一瞬敵襲かと思ったがあれは面白いのう。あの様子じゃと
少女の手にはダイヤル式の鍵の様な物が握られており其処にもアルファベットの羅列がある。それを見ながら少女は一人で笑う、そんな彼女を見る周りの人々は少し距離を置き極力目を合わせないように持っている携帯や近くの看板などの方に目を逸らした。