ミバch創作コミュニティ

36a²の小説置き場 / 8

39 コメント
views
9 フォロー
8
6×6=36 2020/02/23 (日) 21:00:25 修正

思い出したから更新

 

 その姿だけでも、僕に危険を感じさせるには十分だった。
「――――っ」
 瞬時に重心を後ろに動かし、右足で跳ねるように跳び退く。
 尻を強かにアスファルトに打つが、気にしない。手と脚を接地し、臨戦態勢――――と言うには尻餅をついていてどうにも間抜けだが――――を取り、人魂――――鬼火か?――――を見据える。
 否、見据えようとした。
 そこには既に人魂の姿はなかった。その代わりに、
「――――クックックッ」
 と静かな笑いが響き渡る。
 何だ?

 一体、何をされている?(、、 、、、、、、、 )

「クッ――――フフッ――――ふふふっ」
 そこで、はたと気付く。
 その笑いは火が灯った校門――――つまり前方――――ではなく、後方、否、僕の頭上から降ってきていた。
「あはは――――愉快ね」
 昼間に聞いた声だった。
 ひとまずその声を聞いて多少なりとも安堵した僕だった。
 全く、傍点まで振った僕が馬鹿みたいじゃないか。
「弐栞。全部お前の仕業なのか?」
 僕の頭上で未だに笑っているクラスメイトに、そう問いかけてみる。
「あら。人聞きの悪いことを言うじゃない、日向瀬君。私は人魂に怯える日向瀬君を観察しようと背後にいたけれど、日向瀬君の反応が面白すぎて、ついつい笑いが抑えきれなくなっただけよ?」
「・・・」
 人が悪い。
「レディに向かって失礼ね」
 心を読まれていた。
「私にかかればお茶の子さいさいよ」
 なんだこの一方的な以心伝心。
「ま、ただ日向瀬君の思考を推理しているだけなのだけれど――――それはともかく日向瀬君。もう一度校門に手をかけてみなさい?答え合わせをしてあげるわ」
 暗に分かり易い奴、と言われた気もしたが――――もう一度?答え合わせだと?さっきは人魂は自分の仕業じゃないと言わなかったか?
「仕掛け人でなくとも、仕掛けのタネを知ることはできるでしょう。そんなことも分からないとは、残念な脳細胞ね」
「残念って言うな」
 こいつの方が成績いいからなぁ・・・。
「ほら、もう一度校門の前に――――もう一度人魂と対峙しなさい。今度は逃げずに、ね?」
「・・・おう」
 渋々、立ち上がって再び校門へ歩き、さっき人魂を見た辺りで立ち止まる。

  フッ

「――――っ」
 また、人魂が現れた。だが今度は退いたりしない。熱さを錯覚するほど目前の人魂に対峙する。
「――――あれ?」
 すると、ふ、と人魂が消えた。
 困惑していると、再び、ふと人魂が現れた。
「・・・」
 ひとまず、観察してみると、どうやら人魂は3秒程の周期で明滅してる様だ。
 まるで自分の存在を弱々しくも主張するように。

 

続きは後で

通報 ...