ぴりり、ぴりり。
聞きなれたスマホのアラーム音でわたしは目が覚めた。音量はそこまで大きくはないが、習慣というものは恐ろしい。その音を聞いたわたしの脳が、起きる時間であると判断したのだ。
しばらくは無視していたが、止まる気配のない耳元で鳴り続けるそれに耐えきれず、音を頼りにスマホを拾う。ディスプレイには、6:03 という中途半端な数字が写し出されていた。
ああ、寒い寒い。
お気に入りのふわふわのピンクのパジャマを脱げば、冷たい冬の空気がわたしの体をさす。
まだ暖かい布団の中に入りたい欲を抑え、綺麗にアイロンのかけられたワイシャツと脱ぎ捨てられた制服を着た。そして 身だしなみを整えるために鏡の前に立ち──。
「……あれ……」
そこでわたしは、自らの姿が鏡に写っていないことに気がついた。
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凍結されています。