テラス席から道行く人々を眺める彼は金髪でその上にニット帽を被っており
サンセットカラーのサングラスで覆い隠された眼でウォーリーを探せを読む赤子のように用心深く、彼がいるカフェの前を通り過ぎていく人々の顔を観察していた。
ウォーリー宜しく誰か特定の人物を探しているのだろうか。
人の通りが途切れると彼は諦めたような顔をしながらまだ半分と少しのコーヒーの入ったカップを口につけ、カップの底を虚空を向くまで傾けて残っていたコーヒーを口の中に思い切り流し込んだ。
コーヒーを飲み干すと彼はカップをゆっくりと皿の上に戻し
苦虫を噛み潰したような顔を浮かべながら席を立った。
その時、席を立った途端、彼はまるで獲物の姿を捉えた獅子のように目を見開いた。
彼の視線の先には糸目の特徴的な青年が1人、キョロキョロと落ち着かない様子でこちらの方へと歩いているだけだ。
糸目の青年の方から視線を逸らすと、彼はテラスの柵の方へと歩み寄りながらポケットからしわくちゃになった写真と思しき紙を取り出した。
その写真にはなんと、その糸目の青年と同一と思われる男の顔 。
彼はその写真をぐしゃぐしゃに丸め込むと、先程まで口をつけていたコーヒカップの中に放り込み
テラスの柵をひょいっと飛び越えた。
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凍結されています。