・グロ要素有り ・オリキャラ
とりあえず立てた
マリン「危なかったわ…」
マリン「それにしても一人…」
急に寂しく思えてきた。
マリン「一人だし外に出たら食べられちゃうかも…」
マリン「でもここは部屋だから良いわよね。カイリューは来ないはずだし」
ドンドンドンドン!!
扉を強く叩く音が聞こえた。
マリン「ひっ!!」
マリン「でも部屋の中だし大丈夫よね…」
一瞬背筋が凍ったがその後すぐにホッと安心した。
マリン「…しつこいわね」
あの音のせいで安心しようとしても安心できない。
バキッ!!
木が折れる音が聞こえた。
マリン「え?」
後ろを見るとカイリューの目がこちらを睨んでいる。
ついに扉が壊れてしまう。
マリン「嘘でしょ?」
椅子から離れベランダに向かおうとするも
何もない。
窓は開かない。
また閉じ込められてしまった。
後もう少しでカイリューがこっちに来る。
扉はどんどん壊れていく。
マリン「こ、来ないで…」
「キャアアアアアアアア!!」
マリンの悲鳴が聞こえた。
ロイヤル「ま、まさか!!」
音を頼りに201号室に辿り着いた。
扉はボロボロ…というかもはや何もない。中が丸見えだ。
そこから見える景色は
マリンの死体だった。
頭だけしか残っていない。きっと食べられたのだろう。
瞳孔がカッと開いている。
何かを訴えるような、そんな瞳。
ロイヤル「う、うっ…」
死体を見るのはこれで2回目だがまだ慣れない。
というか慣れたらいけない気がする。
吐き気が私を襲う。
ロイヤル「うっ…おえ…」
吐き気に耐え切れず嘔吐した。
201号室には吐瀉物と血でいっぱいだ。
合流しなきゃと思い、よろめきながらも階段を下っていった。
マリー「マリン!!」
急いで階段へ駆け上がろうとするが、肩をポンと叩かれた。
マリー「?」
エメラルドだ。
首を横に振っている。
マリー「でもマリンが!!」
エメラルド「絶対にダメだって!行ったら私達も一緒に殺されちゃうよ!!」
マリーは少し黙った。
マリー「そ、そうだね」
エメラルド「ところでさぁ、なんかあった?」
マリー「えーと…」
シンクの隣に置かれていた紙袋をガサゴソと漁る。
マリー「まずピーマン」
ピーマンを取り出す。少し血がついている。
マリー「で…キュウリ」
キュウリを取り出す。これもまた少し血がついている。
マリー「…キャベツ」
キャベツを取り出す。ベッタリ血がついている。
マリー「これはキウイ」
キウイを取り出す。これには何もついていない。
エメラルド「見事に緑ばっかだね」
マリー「…うん」
マリー「ん〜、じゃあどうしようか?」
マリーがそう言った瞬間人の走る音が聞こえた。
エメラルド「何だろ?」
扉を開けると目の前には顔が真っ青になったロイヤルが立っていた。
ロイヤル「はぁ、はぁ」
マリー「ど、どうした?」
ロイヤル「マリンが…」
声が震えている。
ロイヤル「殺された」
目の前が真っ暗になった。
幼マリー「もういいかい!」
幼マリン「もういいよー!」
幼マリー「よぅし!さがすぞー!」
ザザザザザザザザザザザザザザザザ
砂嵐だ。
頭が痛む
幼マリー「あ!マリン!みーつけた!!」
草むらを掻き分けて見つけたのは
マリンの頭。
苦悶の表情を浮かべている。
あれ
何かがおかしい
マリー「マリン…?」
死んでいるマリンに話しかけた瞬間また目の前が砂嵐に変わった。
「…リー!」
誰かの声が聞こえる。
「マリー!」
エメラルドとロイヤルだ。
マリー「お、おはよう…」
エメラルド「おはようじゃないって!さっきからずっと気絶してて…!」
ロイヤル「死ななくて良かった…」
マリー「う、うん」
酷い悪夢を見ていたようだ。
エメラルド「それでね、えーと…とりあえずキウイ」
キウイを受け取る。真っ二つ。
ロイヤル「皆で食べようか」
皆で食べるご飯。
なんだか懐かしい気分になる。
自分が生きてて良かった…と心から思えた。
ドンドンドンドンドンドン
マリー「え!?来ちゃった!!」
エメラルド「ど、ど、ど、どうしよう…?」
「バウバウーーー!!バウーーー!!」
ドンドンドンドン
ロイヤル「も、もしかしてこのキウイの匂いで…?」
マリー「そんな事あるわけ!…いやあるかも」
バコッ!!
扉が破られた。
カイリューが入り込んで来る。
ロイヤル「や、やばい!!逃げよう!!」
マリー「どうやって!!」
エメラルド「いいから!!」
カイリューは真っ直ぐ追って来る。
ロイヤルとエメラルドはとにかく横に広がると迫って来るカイリューをギリギリの所で回避した。
私は…
マリー「…え?」
ぐちゃ
ロイヤル「助かっ…」
エメラルド「いやまだ!マリーがっ!!」
ロイヤル「えっ!?」
パッと振り返る。
ぐちゃぐちゃになった何かが見えた。
マリーだ。
奥にはカイリューが壁にぶつかり埋まっている。
ロイヤル「マリー…」
エメラルド「辛いよね」
好きなポケモンに殺された。
そんなの私には耐えられない。
トラウマどころではない。
軽く手を合わせて、逃げるようにその場から去っていった。
エメラルド「はぁ、はぁ…どうだった?二階には何かあった?」
ロイヤル「いや…」
首を横に降る。
ロイヤル「あ、でも鍵がかかってる所はあった。そこかもしれない」
エメラルド「…なるほど!行こう!」
タンタンタンと階段を上がっていく。
ロイヤル「ここだよ」
図書室の前へ行きドアノブを回す。
ガチャ
やはり開かない。
エメラルド「本当だ…開かない」
ロイヤル「鍵はー」
エメラルド「あ!」
エメラルドが何かを思いついたように手のひらを叩いた。
エメラルド「カイリューを利用すればー」
ロイヤル「馬鹿じゃないの!?」
ついつい叫んでしまった。
エメラルド「しっ!!」
口を手で抑えられる。
ロイヤル「もごもごもごーーっ!…っはぁ」
ロイヤル「絶対無理だってそんなの」
ロイヤル「とりあえず和室にあるはずだからさ」
カララララ
襖を開ける。
ロイヤル「よし、誰もいないね」
タン!
勢いよく襖を閉めた。
エメラルド「この戸棚かなぁ」
スウウ…
鞠だ。
エメラルド「鞠だ!」
エメラルドは鞠で遊んでいる。
ロイヤル「もう…」
呆れて「龍」と書かれた掛け軸に手をかける
ロイヤル「う、うわぁっ!」
掛け軸のある方向へ倒れてしまった。
ロイヤル「いてて、ってどういうこと?」
エメラルド「もしかして隠し部屋かも!」
エメラルドが鞠を持って駆けてくる。
ロイヤル「た、多分」
エメラルド「きっと鍵があるはずだよ!行こう!」
ロイヤル「う、うん」
掛け軸をくぐりコンクリートで出来た薄暗い通路に辿り着く。
エメラルド「不気味だね」
コツコツコツ、と足音が響く。
光が見えた。
そこに広がるのは
カイリュー1「バウ…」
カイリュー2「バウバウ」
カイリュー3「バウバウー?」
カイリューが入っている檻。
カイリューがいる鉄格子の奥には何やら鍵らしき物があった。
ロイヤル「これを越していけっていうの!?」
ロイヤル「絶対死ぬよ!!」
エメラルドを見つめるとエメラルドが一歩足を踏み出した。
エメラルド「私が行く」
ロイヤル「え!?」
止めようとエメラルドの肩を持つ。
エメラルド「運が良ければなんとかなる…はず!」
ポイッ
鞠を右端に向かって投げた。
シャンシャンと鈴の鳴る音が聞こえる。
カイリュー1「バウ?バウー♡」
カイリュー2「バウ!バウ!」
カイリューが鞠の方へ集まる。
エメラルド「今!」
エメラルドはそう呟くと檻の中に入り素早く鍵を取って帰った。
カイリューはまだ遊んでいる。
エメラルド「取れたよ!鍵!」
エメラルドはロイヤルに向かってにんまりと微笑んだ。
ロイヤル「よし、これで」
先程取った鍵を図書室の鍵穴に刺しグイッと回す。
扉が開いた。
エメラルド「開いた!」
ロイヤル「開いたーーっ!」
くだらないことだけど嬉しくなって、エメラルドと手を取り跳ねあった。
エメラルド「すごいなぁ」
思ったより広い。
ロイヤル「探しにくそうだなあ…」
本をチラチラと見たり、眺めたり。
エメラルド「ねぇ見てロイヤル!この本面白そう!」
と言いながら「ディグダとドードー」という題名の絵本を取り出した。
表紙にはディグダとドードーがクレヨンで可愛らしく描かれている。
ロイヤル「ふーん…」
つまらなさそうにペラペラとページを捲る。
すると栞が挟まれていた。
ロイヤル「何これ?」
栞を手に取る。
「本棚の奥」
ロイヤル「本棚の奥…?」
ボソッと呟いた。
エメラルドがチラチラと除いている。
エメラルド「本棚の奥…」
ロイヤル「って事は…エメラルド!この本、どこにあった?」
エメラルド「あそこだけど…?」
「5」と書かれた張り紙が貼られている本棚を指差す。
ロイヤル「なるほど」
本を全部取り出し、奥を見てみる。
書かれていたのは「出たい」
左の側面には1、右の側面には並びと書かれている。
ロイヤル「出たい…1…並び…か」
エメラルド「どういうこと?」
エメラルドは首を傾げている。
ロイヤル「うん、分かった!」
エメラルド「?」
ロイヤル「並べるんだよー」
エメラルド「はい?」
ロイヤル「この中からたから始まる名前の本といから始まる名前の本を探します」
机の上には先程出した本が山積みにして置かれている。
エメラルド「んー」
一つ一つ確認しながら探して行く。
エメラルド「あった!これだよね」
「食べちゃうぞリザードン」という題名の絵本だ。
ロイヤル「私も見つけた!」
「一緒だよ身代わり人形」という題名の絵本だ。
ロイヤル「で、これ!」
「ディグダとドードー」を取り、本棚に入れた。
ロイヤル「次にこれ!」
次に「ディグダとドードー」の隣に「食べちゃうぞリザードン」を入れた。
ロイヤル「最後にこれ!」
「食べちゃうぞリザードン」の隣に「一緒だよ身代わり人形」を入れた。
ピカッと本棚が光る。
エメラルド「眩し!」
もう一度本棚の奥を見ると、文字が変わっていた。
「上」
ロイヤル「本棚の上、だね」
椅子の上に乗り、本棚の上を見る。
と鍵があった。
エメラルド「これだ!!」
ロイヤル「やっと出られる!ねぇ、エメラルド!」
エメラルド「うん!」
玄関に着いた。
鍵を鍵穴に入れる。
エメラルド「やった!行こうっロイヤル!」
ロイヤル「うん!」
ドン!
大きな物音がした。
後ろを振り返る。
カイリュー「バウバウ……」
カイリューだ。
エメラルド「き、来ちゃった!逃げよう!」
急いで不気味な宿から出て、バタンと扉を閉めた。
ロイヤル「こ、こんな遠かったっけ?」
出たは出たがまだ庭だ。
門はまだ遠い。
ドォン!!
カイリュー「バウアアアアアア!!」
カイリューが扉を突き破った。
エメラルド「ひっ、ああっ!」
エメラルドが転んだ。
ロイヤル「え、エメラルド!!」
ピタリと足を止めた。
エメラルド「私のことはいいから…逃げてロイヤル!!」
ロイヤル「そ、そんな!」
エメラルド「いいから!」
ロイヤルは少しの間黙った後、門に向かって駆け出した。
ロイヤル「ぐっ…エメラルド…!」
「きゃああああああ」と言う悲鳴が聞こえた。
もう振り返らない事にして、門を出た。
ロイヤル「はぁ、はぁ…うぅ」
やっとここから出れた。
フワライドの元に向かおうとする…がフワライドの姿は見当たらない。
ロイヤル「えっ、フワライド…フワライドは?」
辺りを見回すがフワライドは見つからない。
後ろを振り返ると老婆が立っていた。
老婆「いっひひ…おめでとう、おめでとう」
ロイヤル「はぁ…」
意味が分からない
老婆「おめでたいねぇ、君にはこれをあげるよ」
老婆は私に黄色の紐を渡してくれた。
老婆「これはねぇ、厄除けになるんだよ…いっひひ」
老婆「羨ましいねぇ、羨ましいねぇ」
老婆がそうブツブツと呟いているとポケットから包丁を取り出した。
ロイヤル「えっ…?」
老婆「おめでたいねぇ」
老婆はロイヤルの胸元に包丁を突き刺した。
意識が遠のいていく。
バタリ
エメラルド「いやぁ、出ちゃったかぁ。残念だね」
エメラルドの頭にかぶりついているカイリューから離れる。
老婆「残念だねぇ、いっひひ」
横から老婆が現れると、メタモンに姿を変えてみせた。
エメラルド「逃しはしないよ、ロイヤル」
エメラルド「私をハブった酷い人…」
エメラルド「これは復讐、復讐だよ」
エメラルド「悪くは思わないでね」
ニッコリと微笑んだ。
カイリューの楽園 完
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マリン「危なかったわ…」
マリン「それにしても一人…」
急に寂しく思えてきた。
マリン「一人だし外に出たら食べられちゃうかも…」
マリン「でもここは部屋だから良いわよね。カイリューは来ないはずだし」
ドンドンドンドン!!
扉を強く叩く音が聞こえた。
マリン「ひっ!!」
マリン「でも部屋の中だし大丈夫よね…」
一瞬背筋が凍ったがその後すぐにホッと安心した。
ドンドンドンドン!!
ドンドンドンドン!!
マリン「…しつこいわね」
あの音のせいで安心しようとしても安心できない。
バキッ!!
木が折れる音が聞こえた。
マリン「え?」
後ろを見るとカイリューの目がこちらを睨んでいる。
ついに扉が壊れてしまう。
マリン「嘘でしょ?」
椅子から離れベランダに向かおうとするも
何もない。
窓は開かない。
また閉じ込められてしまった。
後もう少しでカイリューがこっちに来る。
バキッ!!
扉はどんどん壊れていく。
マリン「こ、来ないで…」
「キャアアアアアアアア!!」
マリンの悲鳴が聞こえた。
ロイヤル「ま、まさか!!」
音を頼りに201号室に辿り着いた。
扉はボロボロ…というかもはや何もない。中が丸見えだ。
そこから見える景色は
マリンの死体だった。
頭だけしか残っていない。きっと食べられたのだろう。
瞳孔がカッと開いている。
何かを訴えるような、そんな瞳。
ロイヤル「う、うっ…」
死体を見るのはこれで2回目だがまだ慣れない。
というか慣れたらいけない気がする。
吐き気が私を襲う。
ロイヤル「うっ…おえ…」
吐き気に耐え切れず嘔吐した。
201号室には吐瀉物と血でいっぱいだ。
合流しなきゃと思い、よろめきながらも階段を下っていった。
「キャアアアアアアアア!!」
マリンの悲鳴が聞こえた。
マリー「マリン!!」
急いで階段へ駆け上がろうとするが、肩をポンと叩かれた。
マリー「?」
エメラルドだ。
首を横に振っている。
マリー「でもマリンが!!」
エメラルド「絶対にダメだって!行ったら私達も一緒に殺されちゃうよ!!」
マリーは少し黙った。
マリー「そ、そうだね」
エメラルド「ところでさぁ、なんかあった?」
マリー「えーと…」
シンクの隣に置かれていた紙袋をガサゴソと漁る。
マリー「まずピーマン」
ピーマンを取り出す。少し血がついている。
マリー「で…キュウリ」
キュウリを取り出す。これもまた少し血がついている。
マリー「…キャベツ」
キャベツを取り出す。ベッタリ血がついている。
マリー「これはキウイ」
キウイを取り出す。これには何もついていない。
エメラルド「見事に緑ばっかだね」
マリー「…うん」
マリー「ん〜、じゃあどうしようか?」
マリーがそう言った瞬間人の走る音が聞こえた。
エメラルド「何だろ?」
扉を開けると目の前には顔が真っ青になったロイヤルが立っていた。
ロイヤル「はぁ、はぁ」
マリー「ど、どうした?」
ロイヤル「マリンが…」
声が震えている。
ロイヤル「殺された」
目の前が真っ暗になった。
幼マリー「もういいかい!」
幼マリン「もういいよー!」
幼マリー「よぅし!さがすぞー!」
ザザザザザザザザザザザザザザザザ
砂嵐だ。
頭が痛む
幼マリー「あ!マリン!みーつけた!!」
草むらを掻き分けて見つけたのは
マリンの頭。
苦悶の表情を浮かべている。
あれ
何かがおかしい
マリー「マリン…?」
ザザザザザザザザザザザザザザザザ
死んでいるマリンに話しかけた瞬間また目の前が砂嵐に変わった。
「…リー!」
誰かの声が聞こえる。
「マリー!」
エメラルドとロイヤルだ。
マリー「お、おはよう…」
エメラルド「おはようじゃないって!さっきからずっと気絶してて…!」
ロイヤル「死ななくて良かった…」
マリー「う、うん」
酷い悪夢を見ていたようだ。
エメラルド「それでね、えーと…とりあえずキウイ」
キウイを受け取る。真っ二つ。
ロイヤル「皆で食べようか」
マリー「う、うん」
皆で食べるご飯。
なんだか懐かしい気分になる。
自分が生きてて良かった…と心から思えた。
ドンドンドンドンドンドン
扉を強く叩く音が聞こえた。
マリー「え!?来ちゃった!!」
エメラルド「ど、ど、ど、どうしよう…?」
「バウバウーーー!!バウーーー!!」
ドンドンドンドン
ロイヤル「も、もしかしてこのキウイの匂いで…?」
マリー「そんな事あるわけ!…いやあるかも」
バコッ!!
扉が破られた。
カイリューが入り込んで来る。
ロイヤル「や、やばい!!逃げよう!!」
マリー「どうやって!!」
エメラルド「いいから!!」
カイリューは真っ直ぐ追って来る。
ロイヤルとエメラルドはとにかく横に広がると迫って来るカイリューをギリギリの所で回避した。
私は…
マリー「…え?」
ぐちゃ
ロイヤル「助かっ…」
エメラルド「いやまだ!マリーがっ!!」
ロイヤル「えっ!?」
パッと振り返る。
ぐちゃぐちゃになった何かが見えた。
マリーだ。
奥にはカイリューが壁にぶつかり埋まっている。
ロイヤル「マリー…」
エメラルド「辛いよね」
好きなポケモンに殺された。
そんなの私には耐えられない。
トラウマどころではない。
軽く手を合わせて、逃げるようにその場から去っていった。
エメラルド「はぁ、はぁ…どうだった?二階には何かあった?」
ロイヤル「いや…」
首を横に降る。
ロイヤル「あ、でも鍵がかかってる所はあった。そこかもしれない」
エメラルド「…なるほど!行こう!」
タンタンタンと階段を上がっていく。
ロイヤル「ここだよ」
図書室の前へ行きドアノブを回す。
ガチャ
ガチャ
やはり開かない。
エメラルド「本当だ…開かない」
ロイヤル「鍵はー」
エメラルド「あ!」
エメラルドが何かを思いついたように手のひらを叩いた。
エメラルド「カイリューを利用すればー」
ロイヤル「馬鹿じゃないの!?」
ついつい叫んでしまった。
エメラルド「しっ!!」
口を手で抑えられる。
ロイヤル「もごもごもごーーっ!…っはぁ」
ロイヤル「絶対無理だってそんなの」
ロイヤル「とりあえず和室にあるはずだからさ」
カララララ
襖を開ける。
ロイヤル「よし、誰もいないね」
タン!
勢いよく襖を閉めた。
エメラルド「この戸棚かなぁ」
スウウ…
鞠だ。
エメラルド「鞠だ!」
エメラルドは鞠で遊んでいる。
ロイヤル「もう…」
呆れて「龍」と書かれた掛け軸に手をかける
ロイヤル「う、うわぁっ!」
掛け軸のある方向へ倒れてしまった。
ロイヤル「いてて、ってどういうこと?」
エメラルド「もしかして隠し部屋かも!」
エメラルドが鞠を持って駆けてくる。
ロイヤル「た、多分」
エメラルド「きっと鍵があるはずだよ!行こう!」
ロイヤル「う、うん」
掛け軸をくぐりコンクリートで出来た薄暗い通路に辿り着く。
エメラルド「不気味だね」
コツコツコツ、と足音が響く。
光が見えた。
そこに広がるのは
カイリュー1「バウ…」
カイリュー2「バウバウ」
カイリュー3「バウバウー?」
カイリューが入っている檻。
カイリューがいる鉄格子の奥には何やら鍵らしき物があった。
ロイヤル「これを越していけっていうの!?」
ロイヤル「絶対死ぬよ!!」
エメラルドを見つめるとエメラルドが一歩足を踏み出した。
エメラルド「私が行く」
ロイヤル「え!?」
止めようとエメラルドの肩を持つ。
エメラルド「運が良ければなんとかなる…はず!」
ポイッ
鞠を右端に向かって投げた。
シャンシャンと鈴の鳴る音が聞こえる。
カイリュー1「バウ?バウー♡」
カイリュー2「バウ!バウ!」
カイリューが鞠の方へ集まる。
エメラルド「今!」
エメラルドはそう呟くと檻の中に入り素早く鍵を取って帰った。
カイリューはまだ遊んでいる。
エメラルド「取れたよ!鍵!」
エメラルドはロイヤルに向かってにんまりと微笑んだ。
ロイヤル「よし、これで」
先程取った鍵を図書室の鍵穴に刺しグイッと回す。
ガチャ
扉が開いた。
エメラルド「開いた!」
ロイヤル「開いたーーっ!」
くだらないことだけど嬉しくなって、エメラルドと手を取り跳ねあった。
エメラルド「すごいなぁ」
思ったより広い。
ロイヤル「探しにくそうだなあ…」
本をチラチラと見たり、眺めたり。
エメラルド「ねぇ見てロイヤル!この本面白そう!」
と言いながら「ディグダとドードー」という題名の絵本を取り出した。
表紙にはディグダとドードーがクレヨンで可愛らしく描かれている。
ロイヤル「ふーん…」
つまらなさそうにペラペラとページを捲る。
すると栞が挟まれていた。
ロイヤル「何これ?」
栞を手に取る。
「本棚の奥」
ロイヤル「本棚の奥…?」
ボソッと呟いた。
エメラルドがチラチラと除いている。
エメラルド「本棚の奥…」
ロイヤル「って事は…エメラルド!この本、どこにあった?」
エメラルド「あそこだけど…?」
「5」と書かれた張り紙が貼られている本棚を指差す。
ロイヤル「なるほど」
本を全部取り出し、奥を見てみる。
書かれていたのは「出たい」
左の側面には1、右の側面には並びと書かれている。
ロイヤル「出たい…1…並び…か」
エメラルド「どういうこと?」
エメラルドは首を傾げている。
ロイヤル「うん、分かった!」
エメラルド「?」
ロイヤル「並べるんだよー」
エメラルド「はい?」
ロイヤル「この中からたから始まる名前の本といから始まる名前の本を探します」
机の上には先程出した本が山積みにして置かれている。
エメラルド「んー」
一つ一つ確認しながら探して行く。
エメラルド「あった!これだよね」
「食べちゃうぞリザードン」という題名の絵本だ。
ロイヤル「私も見つけた!」
「一緒だよ身代わり人形」という題名の絵本だ。
ロイヤル「で、これ!」
「ディグダとドードー」を取り、本棚に入れた。
ロイヤル「次にこれ!」
次に「ディグダとドードー」の隣に「食べちゃうぞリザードン」を入れた。
ロイヤル「最後にこれ!」
「食べちゃうぞリザードン」の隣に「一緒だよ身代わり人形」を入れた。
ピカッと本棚が光る。
エメラルド「眩し!」
もう一度本棚の奥を見ると、文字が変わっていた。
「上」
ロイヤル「本棚の上、だね」
椅子の上に乗り、本棚の上を見る。
と鍵があった。
エメラルド「これだ!!」
ロイヤル「やっと出られる!ねぇ、エメラルド!」
エメラルド「うん!」
玄関に着いた。
鍵を鍵穴に入れる。
扉が開いた。
エメラルド「やった!行こうっロイヤル!」
ロイヤル「うん!」
ドン!
大きな物音がした。
後ろを振り返る。
カイリュー「バウバウ……」
カイリューだ。
エメラルド「き、来ちゃった!逃げよう!」
急いで不気味な宿から出て、バタンと扉を閉めた。
ロイヤル「こ、こんな遠かったっけ?」
出たは出たがまだ庭だ。
門はまだ遠い。
ドォン!!
カイリュー「バウアアアアアア!!」
カイリューが扉を突き破った。
エメラルド「ひっ、ああっ!」
エメラルドが転んだ。
ロイヤル「え、エメラルド!!」
ピタリと足を止めた。
エメラルド「私のことはいいから…逃げてロイヤル!!」
ロイヤル「そ、そんな!」
エメラルド「いいから!」
ロイヤルは少しの間黙った後、門に向かって駆け出した。
ロイヤル「ぐっ…エメラルド…!」
「きゃああああああ」と言う悲鳴が聞こえた。
もう振り返らない事にして、門を出た。
ロイヤル「はぁ、はぁ…うぅ」
やっとここから出れた。
フワライドの元に向かおうとする…がフワライドの姿は見当たらない。
ロイヤル「えっ、フワライド…フワライドは?」
辺りを見回すがフワライドは見つからない。
後ろを振り返ると老婆が立っていた。
老婆「いっひひ…おめでとう、おめでとう」
ロイヤル「はぁ…」
意味が分からない
老婆「おめでたいねぇ、君にはこれをあげるよ」
老婆は私に黄色の紐を渡してくれた。
老婆「これはねぇ、厄除けになるんだよ…いっひひ」
老婆「羨ましいねぇ、羨ましいねぇ」
老婆がそうブツブツと呟いているとポケットから包丁を取り出した。
ロイヤル「えっ…?」
老婆「おめでたいねぇ」
老婆はロイヤルの胸元に包丁を突き刺した。
意識が遠のいていく。
バタリ
エメラルド「いやぁ、出ちゃったかぁ。残念だね」
エメラルドの頭にかぶりついているカイリューから離れる。
老婆「残念だねぇ、いっひひ」
横から老婆が現れると、メタモンに姿を変えてみせた。
エメラルド「逃しはしないよ、ロイヤル」
エメラルド「私をハブった酷い人…」
エメラルド「これは復讐、復讐だよ」
エメラルド「悪くは思わないでね」
ニッコリと微笑んだ。
カイリューの楽園 完