kagemiya@なりきり

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伯林聖杯戦記0話~0.5話sideSkorzeny 2020/09/04 (金) 19:16:39

それから暫く経ち、気付くといつの間にか駅についていたようだ。
ふと窓の外を見ると黒衣の軍服を纏った連中、親衛隊が慌ただしく駅のホームに蠢いていた。
耳を傾けると、目標を探せだとかスコルツェニーがいるはずだという言葉に気付いた。
どうやら身内である親衛隊から追われているらしい。このままでは青年も巻き込みかねない。
まだベルリンは少し遠いが、なんとかなるだろう。
意を決してスコルツェニーは立ち上がる。
「……どうかしましたか?」
青年も異様な気配に気付いたようだ。
窓から外を見ると、顔をしかめた。
「青年、恐らく私を追っている者がここに来る。君は追っ手に私がここで降りたと言うんだ。そうすれば危害は加えられない筈だ」
スコルツェニーはスーツケースを手に立ち上がる。
「あの……!」
「なんだね?」
青年もまた意を決したかのように声を上げる。
スコルツェニーはそれに応じた。
「僕は、僕はカノン・フォルケンマイヤーと言います……その、ありがとうございます」
座ったまま頭を下げる青年、カノン。
「…………礼を言われるような事はしていないがね。 ウォルフだ、人からはウォルフ博士と呼ばれている」
頭を下げたカノンにスコルツェニーは困ったように眉をしかめると、無理矢理笑みを作った。
そのまま、反対側の窓の客席の窓を開けるとスーツケースを投げ、窓に体を滑り込ませる。
「……お互い、運が合ったらまた会おう、フォルケンマイヤー」 
窓から飛び降りるスコルツェニー。
カノンが窓から覗いた時には既に彼は遠くへと走り去っていた。

「親衛隊だ!これより車両の臨検を行う!!」
カノンが席に戻るのと親衛隊が客車に踏み込んで来るのはほぼ同時だった。

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